ルーマニア・マラムレシュ地方の木造教会(ユーラシア旅行社で行くルーマニア・ブルガリアツアー)
先日、ユーラシア旅行社で行く「ルーマニア周遊とリラの僧院夢紀行 10日間」のツアーより帰国致しました。このツアーはルーマニアとブルガリアにあるリラの僧院を巡るツアーです。その中でも今回はルーマニアの「マラムレシュ地方」について書かせて頂きます。
マラムレシュ地方はルーマニアの北西部に位置し、ウクライナとも国境を接しています。この地域の特徴は何と言っても木造の教会が点在していることです。今回のツアーではスルデシュティ村、ブデシュティ、ボグダンボーダと3カ所の木造教会ご案内させて頂きました。これらの木造教会は17~18世紀に建てられたもので、他の地域の教会とは形が違います。その特徴とは急傾斜の屋根が二重になっていて、入口に近い側の屋根にとてつもなく高い塔が伸びています。ちなみにスルデシュティ村の教会は高さが72mで古い木造教会としては世界で一番高いそうです。これらの高い塔は、敵からの襲撃に備えての見張り塔だったそうです。またいざ襲撃を受けた時はすぐに解体をして、再び組み立てることも容易だったそうです。また下の屋根も急斜面なのは、冬の雪対策を考えてのことだそうです(日本の白川郷などの合掌造りと共通するものがありますね)。
そして中に入っても他の教会との違いが分かります。通常ルーマニアの教会は「ルーマニア正教」ですが、これらのマラムレシュ地方の教会は「ギリシャ・カトリック方式」です。これは簡単に言うと、ギリシャ(ルーマニア)正教とカトリックの折衷様式でありますが、理由はその時代にオーストリア・ハンガリー帝国がこの地を支配していましたが、カトリックを信仰するよう圧力をかけられ、それに対する妥協案としてこの様式になったとのことです。具体的には、正教の特色であるイコン(聖画)とイコノスタシス(聖障壁)があるのと同時に、カトリックの特徴で正教の教会にはないベンチやイエス像やマリア像があります(残念ながら教会内は撮影禁止のためここではお見せできませんが)。
ただこれらの教会は現役で使われているものもあれば、現役を退き文化財として保存さているのみのものもあります(現在はコンクリートでできたものが主流となりつつあります)。やはり木造の方がメンテナンスにも手間がかかり、特に屋根は50年に1回は張り替えられるそうです。もちろん今の世の中、めったなことでは敵からの襲撃に遭うこともないので、組み立てが容易な木造教会の必要性はほとんどありませんが、木造建築を残そうとする心意気は現地の人からもひしひしと感じました(新築の木造教会もちらほら見掛けました)。教会の中に入った瞬間に漂う木の匂いをかぐとほっとした気分になります。やはり木のぬくもりを愛する気持ちは、マラムレシュ地方の人たちと我々日本人と相通じるものがあると感じずにはいられませんでした。(斉藤信)
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