インド東部、オディシャ州のヒンドゥー教寺院
先日ユーラシア旅行社の「アジャンタ、エローラ、コナーラク、巨大石造寺院を巡る旅 9日間」のツアーから帰国致しました。
ツアーの前半はアラビア海に面した大都市ムンバイと、デカン高原に位置し日本でも知名度の高いアジャンタ及びエローラ石窟寺院というインドの西部を訪れましたが、後半は一気にインド亜大陸のベンガル湾に面した東岸に移動し、オディシャ州(旧名オリッサ州)へ。主にヒンドゥー教寺院の数々を見学しましたが、この州の中にある寺院の建築様式には特徴があります。基本形は一番奥にあるトウモロコシのような形をした高い建物が「デウル」と呼ばれる本殿と、その手前にはピラミッドのような形をした「ジャガモハン」と呼ばれる拝殿の組み合わせです。また寺院によっては、ジャガモハンの手前に「ナト・マンディル」と呼ばれる舞堂(ダンシングホール)があり、さらにその手前に「ボガマンダパ」と呼ばれる供物堂があります。ちなみにその4つの建物があるのが、インドのヒンドゥー教4大聖地の1つであるプーリーのジャガンナータ寺院であります。ただしここはヒンドゥー教以外の人は中に入れないので、私たちは入口の外から、あるいは近くの図書館の屋上から中の様子を見ましたが、さすが聖地だけあり、人の外からでも信者の持つエネルギッシュなパワーを感じることができました。
そしてオディシャ州のヒンドゥー教寺院で唯一世界遺産になっているのが13世紀に建てられたというコナーラクのスーリヤ寺院ですが、この寺院の面白いところは、寺院全体が馬車に見立てられていることです。先頭に7頭の石像の馬が引く形で、舞堂、拝殿、本殿がそれぞれ山車となっていて、それらの建物の基壇側面には両脇に12ずつ、計24もの車輪の彫刻が施されています。そしてこれらの数字にも意味があり、馬の数の7は1週間を表し、両脇の12の車輪は12カ月を表します。さらに車輪の間には様々な彫刻が施されており、印象的だったのは、やはりミトゥナ(男女交合)像で、同じインドでもカジュラホ寺院が有名ですが、ここもなかなかリアリティのある彫刻を見ることができました。
なおオディシャ州にはヒンドゥー教寺院だけではなく、殺戮に疲れたアショカ王が仏教徒となり勅令を刻んだ岩壁があるダウリには日本山妙法寺が建立した大きなストゥーパがあり、またインドの少数派の宗教の1つ・ジャイナ教の僧侶が修業をしたというウダヤギリとカンダギリなど見所が満載。ゴールデントライアングルのような華やかさはないにせよ、素朴の中に繊細さを秘めたオディシャ州の建築群は今でも私の脳裏に焼き付いています。(斉藤信)
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