ウズベキスタン「ナウルズ」で感じる春の訪れ
先日、ユーラシア旅行社企画「ナウルズの季節に行く!ウズベキスタン世界遺産周9日間」より帰国致しました。今回のツアーの特徴は、春を迎えるお祭り「ナウルズ」の時期にウズベキスタンを訪れるということです。このお祭りは拝火教という名前でも知られるゾロアスター教に起源があるとされ、現在では中央アジアや中東の一部にしか残っていない、独特のお祭りです。3月21日の「ナウルズ」は新年の始まりとされ、この日を境に春が訪れると言われています。その春の始まりを祝おうと、3月21日を含めた前後の期間は街中がお祭り騒ぎ。今回も、街の広場では民族衣装を着た女性や子供たちが歌ったり踊ったりし、また大通りでは、お祭りの飾りを展示するためのブースが大学や村単位で出されたり、音楽ショーが催されたりと、とても賑わっていました。
「ナウルズ」特有の行事として、例えばウズベキスタンではその年の豊作を願って麦の新芽が育てられます。その発芽させた麦をフレーク状にして水を加え、大きな鍋でことことと20時間以上火にかけることでできる、この時期だけの食べ物「スマラク」は、まるで麦こがしのよう。今回はブハラの広場にて無料で振る舞われていた物を試食させて頂くことができました。私たちが食べ終わる頃には、大きな鍋にいっぱい入っていたはずのスマラクが空っぽに。ほんのりと甘みがあって、子供から大人まで大人気の、春の風物詩です。
また、農作業が休閑期にあたる冬の間のスポーツ「ブズカシ」は、頭を切り落としたヤギをボールに見立て、それを馬に乗ってゴールへと運ぶ、馬上ラグビー。春の訪れを示す「ナウルズ」を境に行われなくなるため、逆に言えばこの頃が「ブズカシ」が見られる最後の時期とも言えます。30~40kgもあるヤギを馬上から身を乗り出して持ち上げてゴールまで運ぶ選手の勇ましい姿は、この地がかつて遊牧民の土地であったことを強く感じさせてくれます。
そして、「ナウルズ」の頃に咲き始めるのが杏の花。桜のような薄桃色の杏の花が咲き誇り、春はそこまで来ているというメッセージを送っているかのようでした。
3月21日といえば日本では春分。昼と夜の時間が同じになるということでこの日を境に冬から春になると考えられてきましたが、実は日本から遠く離れたウズベキスタンでも同様に考えられていることには、何らかの繋がりがあるように感じてなりません。
なお、「ナウルズ」は2009年にユネスコの世界無形文化遺産に登録され、さらに2010年には国連総会で国際デーとして可決されました。国際的にも認められた春のお祭り「ナウルズ」。今年一年、世界中のたくさんに人に幸せが訪れることを祈っています。(越野)
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