マッターホルン初登頂150周年を迎えて(スイス)
先日、「スイス二大鉄道とヨーロッパ三大名峰の旅」より帰国致しました。ツアーでは世界遺産の鉄道路線を走る、氷河特急とベルニナ線に乗車し、そして、ヨーロッパ三大名峰であるモンブラン、ユングフラウ、マッターホルンをそれぞれの展望台や麓の町から眺めるという、スイスの見所を巡りました。どの観光地もそれぞれに魅力がありましたが、私はその中でもマッターホルンの麓の町・ツェルマットが特に印象に残りました。
実は今年2015年はマッターホルン初登頂150周年にあたります。19世紀始め、登山家達がスイスアルプスの名立たる山々を登頂していきましたが、マッターホルンはその切り立った姿ゆえに、登ることができないと考えられていました。そんな中、イギリスの登山家で当時25歳のエドワード・ウィンパーらが1865年、マッターホルンの初登頂に成功。下山時にはお互いを繋いでいたロープが切れ、ウィンパーを含む7人のうち4人が転落し、亡くなってしまうという悲劇も起こりましたが、現在でもウィンパーはマッターホルン初登頂に成功したとして称えられています。
そんなウィンパーがマッターホルン登山前に滞在していたという麓の町、それがツェルマットです。彼が滞在していたホテルにはそのレリーフが残り、また、街の博物館にはその初登頂の記録が残されています。しかし、何といってもツェルマット最大の特徴は、町の至る所からマッターホルンの姿が見えるということ。天候がよければ、朝方、日の出の光を受けて山頂が徐々に赤く照らされていくマッターホルンの姿を眺めることができるのです。
そんなツェルマットは今年マッターホルン初登頂150周年を迎え、その記念すべき年を迎えるべく、町全体が例年より賑わっているように感じられました。列車でツェルマットを訪れた私たちを迎えてくれたのは、駅前広場に置かれた、マッターホルンの形を模した三角錐型のモニュメント。そこにはマッターホルンが初登頂された7月14日までのカウントダウンを秒単位で数える時計が設置されていて、町の人がその瞬間を心待ちにしていることが伝わってきます。また、町の至る所に150周年のロゴが貼られ、土産屋ではそれにあやかったグッズも売られていました。中でも私が面白いと感じたのは、町のパン屋が売り出していたマッターホルン型をしたチョコレートです。150周年記念として作られた訳ではなく、以前から売られていたものですが、今年は記念の年ということもあり、その売れ行きは例年よりも好調な様子。お店の方が「どれにしようか迷っているの?だったらこのチョコレートはどう?マッターホルンはね…」と落ち着いた口調でありつつ、情熱的に観光客に話しかけていたのが印象的でした。
その他、ツェルマットではたくさんのイベントも予定されているとのことで、今年はますます多くの観光客が訪れそうな予感を感じさせます。普段は静かな山麓の町・ツェルマット。しかしそこには、マッターホルンに情熱を捧げ、そして、愛情を持った温かい人々がいらっしゃいました。(越野)
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