チベットよりもチベットらしい、インド・ラダック
先日ユーラシア旅行社の「荒涼たる大地、チベット密教が息づくラダック 8日間」のツアーから帰国致しました。
ラダックとはインドにある地方の1つですが、名前は聞いたことがあってもどこにあるかピンとこない方がほとんどではないかと思います。場所は首都デリーより北へ1000km程のところに位置し、ヒマラヤ山脈とカラコルム山脈に挟まれたインダス川上流域一帯を表します。中心地はかつてのラダック王国の都が置かれていたレー、そしてレーより東側を上ラダック、レーより西側を下ラダックと言います。標高は概ね3500mで、ツアーでは初日にデリーで宿泊し、翌日飛行機でレーまで移動しますが、体を高地に慣らして頂くため、その日はそのままレーのホテルへ案内し、1日休んで頂きます(実際に観光へご案内するのはその翌日からとなります)。
ではラダックには何があるのか?標高が高いためか、ツアータイトル通り、荒涼たる大地です。そしてインダス川流域には集落がぽつんぽつんとあります。そして一番の特徴は「ゴンパ」と呼ばれるチベット仏教寺院が点在することです。そもそも7世紀に、吐蕃王国(現在のチベット)がラダックと西ヒマラヤ地方を支配し、チベット系民族が定着していき、8世紀になるとチベットから流入した仏教が盛んになっていったと言われています。以来ラダックの住民の人々の篤い信仰心のもと、ゴンパが次々と建てられていきました。そして現存するゴンパのうち、一番古いのが11世紀ごろに建てられたものであり、15~17世紀ごろに建てられた多くのゴンパが現在でも多くの信者さんが足繁く通っています。ちなみに20世紀終盤に再建されたゴンパが多い中国・チベットに対し、昔ながらのゴンパが数多く現存するラダックは「チベットよりもチベットらしい」とも言われています。
そんな数多くのゴンパの中でも、私の一番のお気に入りは上ラダックに位置する「ティクセゴンパ」です。ラダックのゴンパは丘の上に建っていることが多いのですが、ティクセゴンパもご多分にもれず、しかもそのたたずまいが素晴らしく、チベット・ラサのポタラ宮にどことなく似ています。まずは丘の麓から全景の写真を撮ってから、ゴンパへ。その建物内にある全長15m弥勒菩薩像がありますが、これまた素晴らしい。その凛としていてそれでいて心優しい目つきに思わず私も一目惚れ!ラダックの写真集、絵葉書、カレンダーなどにも必ずと言っていいほど使われるこの弥勒菩薩像ですが、パッと見のみならず、実に手が込んでいるのがわかります。例えば冠に彫られた五体の仏像。これはわかりやすいのですが、胸のネックレスをよくよく見てみるとここにも小さな仏像(阿弥陀如来)が彫られているのがわかります。ここで改めてラダックの人々のチベット仏教に対する信仰心の篤さを理解することができました。(斉藤信)
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