目からウロコ!の生活術(南太平洋)
先日、ユーラシア旅行社の「南太平洋5ヶ国大周遊 16日間」の添乗より帰国しました。フィジー、トンガ、サモア、ソロモン諸島、バヌアツという、ちょっと珍しい5ヶ国を巡る今回の旅。オーストラリアの北東の海上に、点々と散在するこれらの国々は、メラネシアという地域で一括りにされがちですが、実際に訪れると、多くの部分で違いがある事に気がつきます。
外見においては、髪質に違いが見られます。フィジーやソロモン諸島の女性の特徴はチリチリした髪質でアフロヘアーが多いのです。それに比べトンガでは豊かな黒髪のストレートヘアー、又、体格がふくよかなほど美人であるとされ、島中にはグラマラスな女性で溢れていました。
南の島というと、常夏で毎日が海水浴日和!というイメージですが、実はそれぞれ気候も異なります。サモアやソロモン諸島はクーラーなしでは過ごせない程、ジメジメした体にまとわりつくような暑さである一方、トンガではカラッとしていて春のような清々しい毎日でした。とても意外な事ですが、トンガには日本同様四季があり、日本が夏の時期には(5月から8月)、あちらは真冬。吐く息が白くなりコートが必要なほどだそうです。見渡す限りに生い茂る椰子の木や真っ赤なハイビスカスの花、こんな景色を見ると、冬が来るなんてちょっと想像できません。
こんな風に個性的な南太平洋の5ヶ国ですが、共通点も勿論あります。それは「食」。トンガやバヌアツのガイドさんは「子供が生まれると椰子の木を植え、その子が大人になった時、食べ物に困らないようにしているの。」と言っていました。
訪れた5ヶ国では、農業が盛んで、国民の殆どが自給自足。鬱蒼と木々が茂るジャングルの中にはタロ、ヤム、キャッサバなどの芋が自生し、至る所に恵みの椰子の木が生えているので、人々はお給料を得なくても、飢えることがないのです。ですので、物乞いもホームレスも殆ど見かけることがありません。
また、バヌアツ・タンナ島では、古くからの伝統を守り生活しているロウィニー村を訪問しました。「文明」という言葉からは程遠い彼らの生活。私たちが日常で使っている調理器具は一切ありませんが、目からウロコが落ちるような、驚きの調理法で、出来立てホカホカの現地の名物料理ラップラップを御馳走してくれました。
ラップラップ料理は村に自生しているタロイモ、キャッサバ、サツマイモ、キャベジと呼ばれる葉物やお肉をバナナの葉で包み、土を掘った穴の中に焼き石と共に入れ、その上から土をかぶせて蒸し焼きにした料理。南太平洋では「ラップラップ」、「ロボ」、「ムームー」などと呼び方は異なるものの、作り方や食材はほとんど一緒です。味付けはココナッツクリームのみ。鍋や火、水などを使わずとも、1時間ほどで柔らかく蒸し上がります。また、驚いた調理法がもう一つありました。それはキャッサバをすりおろして蒸し上げたチヂミ風の主食。でもすりおろし器なんてありません。ここで登場するのが棘のついた枝です。それを立てて、器用にキャッサバをすりおろせば、あっという間にとろろ芋のような、なめらかな液体状に姿を変えてしまいます!これには我々一同、驚きの声をあげてしまいました。どれ位、昔からこの調理法が行われているかはわかりませんが、「やってみよう!」と行動を起こした人は本当に天才だな~と終始感心しっ放しでした。「工夫」とはまさに彼らの生活そのもの。何もなくても、人は考え一つで生きていけるんだ!と自信がついた旅でもありました。(三橋)
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