2015年11月19日 (木)

コンクで奇跡を起こす“盗み出された”聖フォアの聖遺物(フランス)

Cimg0413 

 先日、ユーラシア旅行社の「南西フランス物語 15日間」の添乗より帰国致しました。ビアリッツやバイヨンヌなどフレンチバスク地方から始まり、「フランスの最も美しい村」に登録されている小さいながらも古き良き中世の街並みを残した可愛らしい村々、また、ルルドやロカマドゥールなど多くの巡礼者が訪れる巡礼の地など10月のフランスはすっかり秋も深まり、街路樹は黄葉し、車窓からの景色も素敵でした。

Dscn8485

 なかでも印象に残ったのは、サンチャゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路の一部であり、フランスの最も美しい村にも登録されている小さな村「コンク」です。コンクにはサントフォア教会というロマネスク様式のタンパンが見事な教会があります。12世紀初頭に作られたと言われるタンパンの浮彫彫刻は圧巻の一言。「最後の審判」を題材にしており、イエスを中心にイエスの左側が地獄、右側が天国。全部で124人の人物が細部まで表情豊かに彫られています。天国側には聖母マリアをはじめペテロやコンクの創始者であるダドン、天国に迎え入れられる人々がいます。一方、地獄には現世で罪を犯した人々が彫られているのですが、これがとてもユニーク。一生のうち飲んだ酒を吐き出させられる「大酒飲み」、舌を引き抜かれている「嘘つき」など、よく目を凝らしてみると現世にどのような罪を犯したのかが分かるようになっています。これは現世の人々に、行いを改めなければ恐ろしい審判をうけることになるぞというメッセージだったのです。
 また、サントフォア教会にはほかの教会にはないユニークな逸話があります。コンクの始まりは8世紀末、隠修士ダドンが瞑想生活の為に小さな修道院を創設しました。最初は規模の小さな教会で、ここに訪れる人は少なかったそうです。その後、聖人の遺骨や遺物が奇跡をもたらすと信じられていた聖遺物信仰が盛んだった866年、ある修道士が巡礼者を惹きつけるものが必要だと考え、なんと別の村アジャンから聖フォアの遺骸(320年にローマ帝国により12歳で殉教死した)を盗み出してきました(盗み出した本人は“贈られた”と言ったそう)。それからコンクでは奇跡が起こるようになり、巡礼者も爆発的に増えたと言われています。盗み出された聖フォアの遺骸は、現在もコンクにあり、教会の宝物殿には聖フォアの頭蓋骨を収める座像の聖遺物箱があります。聖遺物箱も金や宝石で飾られ、とても豪華。コンクに訪れた際は必見でしょう。
 聖遺物崇拝がいかに盛んだったのかが実感できました。聖遺物と言われるものの中には、「偽物」もあるようですが、信じる心は救われるというのは本当なのでしょう。私にも奇跡がいつか起こると信じています。(市川)

|

西欧・南欧情報」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。