アブシンベル大神殿に起こる朝日の奇跡(エジプト)
先日、「ナイル河クルーズとエジプト・ハイライト 9日間」から帰国しました。1年ぶりのエジプト訪問には、ひそかな楽しみもありました。例えば、ツタンカーメンの黄金のマスクはヒゲが綺麗に修復されたのかを見ること。日本でもずさんな修理方法がニュースになり、その後の修復が気になっていました。また、王家の谷にある彼の墓を再訪すること。小さな墓ですが、「壁の向こうに新たな部屋があるかもしれない」というニュースを聞き、まだ見ぬその部屋を想像してみたいと思ったわけです。
そして最も期待していたのは、アブシンベルの朝日の奇跡です。古代エジプトの神々に捧げられた神殿には、最奥に至聖所と呼ばれる聖域のようなものがあります。かの有名なラムセス2世が建設を命じ、1960年代にダム建設による水没危機から救われたアブシンベル大神殿。ここにも至聖所があり、3人の神とラムセス2世、合計4人の石像が安置されています。ラムセス2世を中心とするこの像に、年にたった2回、朝日が差し込む“奇跡”が起こるのです。その日は、2月22日と10月22日。前者が即位日、後者が誕生日という説が有力ですが諸説あるようです。
当日は午前1時(!)に起床し、2時にホテル出発。近くのホテルに宿泊したのでアッという間に入口に到着し、ゲートが開くのをじっと待ちます。その間にも人が集まり、3時45分頃にゲートが開いた時には200人くらいに。それでも、アラブの春以前に比べるとあまりに少ない印象です。はやる気持ちを押さえて大神殿へ。今回のように早くから順番待ちをすれば、このあとは大神殿の中で待つことができます。中は暖かく、座って待つにはタオルを袋に詰めて作った簡易クッションが役立ちました。
日の出まで約2時間。根気強く待ちます。でも、ライトに照らされた神殿内のレリーフに囲まれて待つ時間は至福の時。ラムセス2世が戦車に乗って勇ましく弓を射んとしている姿、敵のヒッタイト人を縛り上げる姿、太陽神アメンラーに向かい合っている姿・・・外界と隔離された神殿内は、3千年前で時が止まっているような錯覚を感じるのです。
6時過ぎ、徐々に光が入り始めてソワソワ。6時23分に日の出を迎えると、列が動き出して順番に至聖所へ・・・。像の前を通り過ぎる3秒間、その瞬間に見た光差す石像の神々しさは、4時間以上の待ち時間の疲れと眠気を吹き飛ばすに十分すぎるものでした。1体だけ光が当たらない像があるのですが、それも確認できましたし、大いに満足!夢心地で外に出ると、想像以上の人の多さ。エジプト人観光客も多く、みんなお祭り騒ぎを楽しんでいました。
日本に帰国した翌日、タイムリーにもエジプト大統領が来日。「観光客の為の安全確保には努力を惜しまない」と演説されていました。確かに、今回はツーリストポリスが付かず離れず同行してくれて安心感がありました。しかし、どこの観光地も以前ほどの混雑さはなく、土産物屋の熱心な客引きもなく・・・昔の賑わいがなくて少し寂しい気持ちになりましたが、ゆっくりと遺跡の空気を味わい、じっくりとヒエログリフや壁画と向かい合うことができました。5千年の歴史をもつ悠久のエジプト、また多くの人々で賑わう日が早く訪れますように。(江間)
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