この度、ユーラシア旅行社の「カナリア諸島絶景紀行」より帰国しました。
カナリア諸島は、スペイン本土から南に1000㎞。モロッコから西に300㎞の海上に浮かぶ7つの島。「常春の島」と呼ばれ、ヨーロッパの人々からは休暇に訪れるリゾート地として人気ですが、のんびり滞在するだけでなく、地球の原風景を思わせる景観や、火山の噴火によって形成された大地を実感できる興味深い島なのです。
今回のツアーでは、火山のクレーターが点在するランサローテ島、大航海時代にコロンブスが訪れたゴメラ島、スペイン最高峰テイデ山が聳えるテネリフェ島の3島を訪れました。
ランサローテ島は火山活動による洞窟や溶岩流、クレーターが広がり、まさに火山島!といった感じです。1730年代に大きな噴火が続き、島の南部の3分の1は海没し、その時11の村落が消滅し、100以上の噴火口ができたそうです。
朝、ホテルを出発して町を少し離れると辺りはもうゴツゴツした黒い岩だらけの大地。少し先には今は休火山となった円錐形の山がいくつも見えました。あの山が突然火を噴いて溶岩がここまで流れ来たんだ!と、ガイドさんはまるで見てきたかのように語ります。溶岩の流れが突然変わった為に生き残った村は「ラッキータウン」と呼ばれているそうです。
「ティマンファヤ国立公園」は地熱を利用した面白い体験ができます。到着すると、係りの人に「みんな手を出して―。絶対握っちゃだめ!」と言われ、何かを受け取りました。が!誰もが受け取った瞬間アチチ!アチチ!とこぼしていました。実はそれは地面を少し掘った所から取った石でした。とても熱くてびっくり。地表の同じ石に触れてみるとまったく熱くないのに不思議です。
また、別のところではプシュー!!と音を立てて噴水のように蒸気が吹き上がっていました。深さ13mの穴に水を入れると吹き上がるという実験です。
レストラン「ディアブロ(悪魔)」では大きな穴の上に網を乗せ、その上でチキンや野菜を並べて焼いていました。ここの地熱は硫黄が発生しなので食べ物も安心して焼けるのです。世界中に地熱を利用した物はいろいろありますが、「地熱バーベキュー」が出来るのはきっとここだけでしょう。
食後のドライブでは溶岩が流れて固まった所や溶岩の川や溶岩トンネルなどを見ました。大迫力で次々と視界に入る大自然の景観に驚きと感動の連続でした。
ランサローテ島北部にも溶岩洞窟やトンネル、島の北部の小島を望むリオ展望台など、絶景ポイントが沢山ありますが、どの観光地もとても綺麗に整備されています。それは、この島出身の建築家セサールマンリケという人のおかげなのです。ニューヨークで芸術家として活躍していたマンリケさんは、当時、干ばつや不景気で島民が次々と移住しゴーストタウン化していた島を救うために帰国し、島おこし運動を開始したのです。そして、この島の自然景観を損なわないよう、且つ、お洒落で洗練されたデザインや観光客が楽しめる空間を観光地に取り入れました。
リオ展望台もその作品のひとつ。北部の山の上にありますが、遠くから見るとそこに建物があるとは全く分かりません。近くに来てやっと、土の色と似た地味な建物があるという事がわかります。中に入ってみるとびっくり!室内の壁は白く塗られ、中央にはアート作品のような装飾があります。所々に観葉植物が置かれ、まるで都会のカフェのようです。白壁をくりぬいてはめ込んだような螺旋階段を登った所に展望台があります。
次々とマンリケさんの作品が生まれ、地元の人々も次第に島の魅力を再確認するようになりました。現在はマンリケさんの意思を次いだ地元の人々がその作品と共に自然を守っています。(関根)
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