フィレンツェの復活祭を訪ねて(イタリア)
先日「イタリア・ルネサンス芸術と古都を巡る 10日間」のツアーより帰国致しました。今回は普段のツアーと異なり、フィレンツェ滞在中にキリスト教のお祭り・復活祭を見学する特別日程でご案内させて頂きました。
日本でほぼ馴染みのない復活祭は、イエス・キリストが十字架に磔刑にされて亡くなった後、三日後に復活したことを祝う、キリスト教の国々ではとても重要なお祭りの一つ。ヨーロッパ各地・イタリアの各街で復活祭は行われていますが、イタリア全土の中でもフィレンツェの復活祭はその様子がニュースで流れる程規模が大きいものです。今回も、多くの見物客に混じって撮影を行うカメラマンやアナウンサーの姿が見られました。
フィレンツェの復活祭は正式名称を「スコッピオ・デル・カッロ(スコッピオ祭)」と言い、「山車の爆発」を意味します。お祭りのクライマックスを飾る派手な火薬演出に見応えがあり、他の復活祭とは一味違うと毎年人気を集めています。起源は11世紀末の第一次十字軍にあり、その際の功績によりキリストの墓石の欠片を与えられたパッツィーノ・デ・パッツィが故郷フィレンツェに帰郷した後、その欠片で起こした火が「祝福された火」として荷車に乗せられ市内を回ることになったという歴史によります。
現在では荷車が大きな山車にとって替わり、4頭の白い牛に引かれて街をまわった後、フィレンツェきっての観光地であるドゥオーモ前の広場へスタンバイ。司教のありがたい説教を聞いている間に、「祝福された火」を表す火薬が山車に装着されます。そしてドゥオーモの祭壇から山車まで一直線にワイヤーが張られ、そのワイヤーを伝って鳩の形をしたロケットが火薬に火をつけるという仕組み。鳩は聖霊の象徴ですが、スコッピオ・デル・カッロの鳩は火をつけるだけが役割ではありません。その後、再びワイヤーを伝って大聖堂へ戻っていかなければならないのです。この鳩が上手く戻ればその年は大豊作になると言われており、お祭りが終わった後は「今年の鳩は戻っていったかい?」と尋ね合うのだそう。そしていよいよクライマックスの「山車の爆発」へ。鳩によって点火された火薬が爆音を立てながら一気に爆発します。中には垂直に火花が上がっていくものもあり、約10分間続く爆発の間、観客は、次はどんな仕掛けの火薬が爆発するのかと固唾を飲んで見守ります。爆発は確かに激しいものですが、いざという時のために消防車も待機しているので、ご心配なく。辺りが白い煙で覆われ、最後の仕掛けが終わったところでお祭りは終わり…ですが、今度は後ろの方で見学していた人が一目山車を見ようと押し寄せてくるため、しばらく辺りは大変な混雑に見舞われます。
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