2016年5月12日 (木)

摩訶不思議な世界を堪能!ボス展(オランダ)

先日、「没後500年・謎の天才画家ヒエロニムス・ボスの旅10日間」のツアーより帰国しました。
教会の祭壇画というと神様、天使、聖人といった宗教にまつわるものが描かれ、聖書の知識を要するもの、大きなカンバスに描かれ圧倒されるもの、神々しいものなど様々。ヒエロニムス・ボスという画家が描いた作品は、祭壇画や聖書にまつわる題材の絵がほとんど。それでも、聖書をそれほど知らなくとも人々を魅了させるのは、怖いはずの悪魔がユーモラスな姿態だったり、近未来を髣髴させるような建造物や幻想的な風景、一枚のカンバスの中にたくさんの人物と意味合いを含む場面が描かれ、好奇心を刺激し関心を引くものだからでしょう。

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ボスの絵を深く解読するには、宗教知識も必要ですが、ボスの生い立ちや時代背景を知ればなお深まるところが面白かったです。ヒエロニムス・ボス(本名:ヒエロニムス・アントニス・ゾーン・ファン・アーケン)は、現在のオランダ、スヘルトヘンボスの町に生まれ、そこで生き、没した。画家一家に生まれ、権威あるキリスト教団体の“聖母マリア兄弟会”に所属し、そこで聖職者に近い立場の名士であり、ミサ服のデザインやステンドグラスの制作など教会関係の仕事を請け負っていました。彼の作品がキリスト教に関係するものであるのはこのような立場であったから。ボスの生きた時代は15世紀半ばから16世紀初め。当時の世の中は、1453年にコンスタンティノープルが陥落し、東ローマ帝国が崩壊。オスマントルコの脅威が欧州に広まっており、またローマ教皇インノケンティウス8世を始め、聖職汚職、異端審問、魔女狩りが行われ、人々の間には最後の審判が下るという世紀末思想が広まっていました。ボスの絵の中には、7つの大罪(傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲)を表わす人物描写が多いのも、時代背景と人々への戒めがこめられていることが分かります。ボス作品では遠くにある建物が燃えている背景もよく見かけます。ボスが子供の頃に町で火災があり生家が消失。その実体験が、見る人に恐怖感を与えるリアルな地獄の業火を描かせています。故郷のスヘルトヘンボスの町は、刃物や鋳物製造が盛んで楽器を生産していました。そのためにボスの絵の地獄図では、刃物や楽器が拷問器具として使われていたり、刃物の形をしたユニークな悪魔が描かれていたりしますが・・・これも郷土愛?

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ボスが生きた時代には、イタリアの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチやドイツの画家アルブレヒト・デューラーが活躍していました。さまざまな国の芸術家がイタリアへ渡り、イタリア絵画の技法を取り込んでいく中、その影響を受けずにボスは独自の道を進みました。スヘルトヘンボスで生涯を送ったボス。それでも所属していた聖母マリア兄弟会の人脈で、フィリップ美公(ハプスブルク家のマクシミリアン1世とブルゴーニュ公家のマリーの子)の眼にとまり、有名な「最後の審判」の制作を依頼されました。ボスが亡くなった後も、ボスファンだったスペイン王フェリペ二世によりボスの作品は様々な所有者から買い集められ、なかでも「快楽の園」は王の寝室に飾られたほどのお気に入りに。一般の人々が目にする教会内装飾から貴族、果ては王様まで魅了させたボスの作品。その後もボス作品に魅了された世界各地の人や美術館により買われ、世界中に散り散りになったボスの作品が、2016年の没後500年という節目(※生まれはハッキリしていない)に故郷に戻ったのです!!!今回の特別展は、現代においてのボスファンを熱狂させるものでした。チケットはあまりの人気で早々に完売。混雑回避の為に入場も時間制限を設け、作品を間近で鑑賞できるほど近づけるので、荷物やコート(ちょっとした薄手の羽織物でも)は絶対にクロークへという徹底ぶり。それでも、展覧会場となった北ブラバント博物館の室内すべてがボスの作品とボスの工房で制作されたもの、弟子たちの作品などボス関連作品だけの空間は、ボス独自の雰囲気を漂わせ、作品に描かれた世界観が自分の中にじんわり浸透してくるような感覚になり、まさに世界観に浸る鑑賞ができました。

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私的な想いをつづるようなボス自身の手紙や日記も残っておらず、ボスの情報は所属していた聖母マリア兄弟会が残した公式文書のみ。ボスは何を思って、このような可愛らしい悪魔を生み出したのか。このような可愛らしい悪魔から、ボス自身もユニークな一面も持ち合わせていたのか。何からインスピレーションを受けて、このような幻想的な天国を描いたのか・・・などなどボス作品からボス自身の人物像も考えてしまいました。謎の天才画家ボス。次にボスの作品が故郷にこうして里帰りするのは・・・500年後なのかしら。。。
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