2016年7月15日 (金)

「ライ」知られざる英国の田舎町

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先日「英国の美しき田舎町とフットパス 13日間」のツアーより帰国いたしました。今回の旅のハイライトはイギリス中に張り巡らされた散歩道、フットパスの一部を歩くこと。その総延長は24万キロ(なんと地球6周分に相当!)といわれ、森に牧草地に畦道に、たとえそこが私有地であっても、誰にでも歩く権利が与えられた散策路です。ウォーキング大国、英国ならではの旅の楽しみ方のひとつでもあります。雨が多いことで知られる英国の気候ですが、大事な時には太陽が顔を出してくれ、素朴な田舎町の散策を楽しむことができました。

〝英国の美しい田舎町〟と聞いて、思い浮かべるのはピーターラビットが誕生した湖水地方や、蜂蜜色の石造りの家が可愛らしいコッツウォルズ地方などではないでしょうか。しかし、今回は足を伸ばして、普段ツアーでは訪れることが少ない、ちょっとマニアックな英国の美しい田舎町を巡ってきました!中でも、最も印象に残ったのがライの町です。

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イングランド南東部に位置するライは、「フランス人が一番訪れたいイングランドの町」とも言われ、中世の面影をそのまま残す石畳の坂道や、チューダー様式の古い家々が美しい町。海を隔てた先にはフランスがあり、13世紀前半まではフランス領でした。その後、ヘンリー3世が領土を取り戻すと、地元の人々に海岸線の防衛を命じ、フランスへの戦略拠点を築き、港町として発展。しかし、英仏戦争が終わると、町はたちまち衰退し、海賊や荒くれ水兵が集まる町となってしまいました。衰退=古くなった建築物を修復するお金もない、という理由から、幸運にも中世当時のライの町がそのまま残されることになったのです。丸い石畳のメインストリートを登っていくと、見えてくるのは可愛らしい人魚の看板。そこはエリザベス1世も滞在した1420年創業のホテル「マーメイドイン」。私達が昼食をいただいたレストランでもあります。重厚な革張りのソファに赤い絨毯、歩くたび軋む床は長い歴史を感じさせます。奥には、一際古めかしいパブがあり、かつてこの場所で海賊たちがたむろしていたというのです。アンティークの調度品に囲まれていただくお料理もまた格別でした。シーフードもお肉も野菜も充分すぎるくらいのボリュームで、どれも新鮮。お腹いっぱいいただいた後は、町を散策。地図を片手に石畳をずんずん登り、英国最古の時計塔があるセント・メアリー教会や文豪ヘンリー・ジェームズが暮らしたラム・ハウスなどに立ち寄り、アンティークショップを覗いたり・・・まるで、中世の世界にタイムスリップしてしまったかのような素敵な時間を過ごすことができました。(三橋)


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