個性豊かな彫刻を求めて行く、英国ロマネスク教会を巡る旅
この度、ユーラシア旅行社の「キルペックと英国ロマネスク12日間」より帰国しました。
ロマネスクとは、簡単に言うと10世紀末~12世紀にかけて西欧に広まったキリスト教美術様式の事です。ヨーロッパの旅行に出かけると、壮麗なゴシック建築の大聖堂を目にしますが、ゴシックの前の時代に建てられたロマネスク教会はそれとは対照的にこぢんまりとした可愛らしい教会が多いです。
ロマネスクの旅は、まず、教会を探す事から始まります。地図にも載っていないような人里離れた村にある小さな教会なので、ベテランガイドであっても3年前に一度行ったかな、、、という程度。今はカーナビがあるので郵便番号を入れれば場所は特定できますが、農道などの細い道が多く、バスが通れない道も多いため、道順を書いたメモを見ながら向かいました。
時々見える道路標識には一向に、教会のある村の名前が出てきません。そろそろ着く頃なんだけどな~とハラハラしていた時、ポテト畑の奥の木が生い茂った一角に一瞬、三角屋根が目に入りました。「見つけた~!」と、思わず大喜びしてしまいました。ドライバーさんもガイドさんもホッと一安心した瞬間です。
ロマネスク教会の魅力は何と言っても、その素朴さです。周囲の自然に溶け込む石造りの教会堂、無造作に建てられた墓石には苔が着いていてとても良い雰囲気なのです。
教会の外側、屋根の下に持ち送りと呼ばれる場所がありますが、そこに施された彫刻がまた、個性豊かで見ていて楽しいです。
研究者や数々の資料によると、その意味ははっきりとは分かっていないそうですが、宗教的な意味を表しているものと、石工達の好みで自由に掘られたものがあるそうです。
例えばコッツウォルズ、キルペックという場所の教会には持ち送りの彫刻が全部で89あります。アダムとイブや神の子羊など、すぐに宗教的な意味を理解する事ができる物もありますが、楽器を演奏する人や犬、2人のレスラーなど、一目では宗教的な意味を見いだせない物が数多くあります。恐らくその時のはやりや周囲にあった物や人などがモチーフになったのでしょう。
ロマネスクの旅は、教会巡りの旅ですが、キリスト教の教えを説く旅ではありません。そんな意味など考えなくても、景色や食事やそこにある素朴な彫刻をただ楽しむだけで良いと思います。可愛らしい「うさぎと犬」の彫刻に出会えた時の皆様の笑顔を見るとそう感じるのです。(関根)
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