ピウス2世の、小さな小さな理想郷へ(イタリア)
9月23日より、ユーラシア旅行社の「イタリア歴史物語 15日間」のツアーの添乗に行ってきました。ミラノから出発して少しずつ南下、ヴェネツィアやフィレンツェといった大都市はもちろん、田舎の小さな街や村も丁寧に巡り、最後はローマで終了。天候に恵まれ、イタリアの魅力をたっぷりと堪能してまいりました。
全部で18の都市を訪問しましたが、私の一番のお気に入りは、イタリア中部に位置するピエンツァ。人口はわずか2000人、城壁に囲まれた旧市街の長さは400mという極小都市ですが、この街には面白い歴史があります。
1458年、この小さな街から一人のローマ教皇が排出されました。彼の名前はピウス2世。なかなか奇抜な発想の持ち主で、教皇になったことをきっかけに、自分の故郷を当時流行りのルネッサンス様式一色にしようという、理想郷建設大計画を企てます。キリスト教を束ねる教皇としては少々規模が小さいような気もしますが、もともとある街を意図的に全て造り替えようというわけですから、妥当な規模だったのかもしれません。ところが残念ながら、その壮大なる(?)計画の途中でピウス2世は急死、計画は頓挫することとなりました。
その後の発展の波に乗り遅れたおかげで、中世の姿を現代にそのまま残すピエンツァ。石畳の小路には石造りの可愛らしい家がずらりと並び、時にはチーズ屋さんの可愛らしい看板がぶら下がっていて、歩いていると中世の時代にタイムトリップした気分に浸れる、何故だか無性にワクワクする、そんな街でした。
メインの広場(その名もピウス2世広場)は見事にルネッサンス様式の教会とお屋敷に囲まれ、ピウス2世の理想郷の残像を垣間見ることも。全てがルネッサンス様式の街を見てみたかった気もしますが、温かみのある茶色い石造りの家々が並び、周囲に美しいオルチャ渓谷の自然美が広がる、城壁に囲まれたこの小さな都市は、今のままでも十分〝理想郷″の名にふさわしい!!と私は思います。
そういえばピエンツァの名物は羊のチーズ、小さな街の至る所にチーズ屋さんがありました。ちょっと覗くと独特の良い香りが漂ってきます。真空パックにしてくれるのでお土産にももってこいです。8月にはチーズ祭りが行われ、広場の端から丸いチーズを転がして、広場の中央に立てた棒にいかに近付けるかを競うのだとか。大の大人が地面に這いつくばって真剣にチーズを転がす様はちょっと異様な気もしますが、是非見てみたい。石畳はでこぼこだから、結構難しいんだろうなぁ。(佐藤)
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