オイルマネーで潤っているのはたった15%のカタール国民だけ?!
先日「アラビア半島5か国紀行~クウェート・バーレーン・カタール・UAE・オマーン~11日間」の添乗より帰国しました。出発前は5か国にそれぞれどんな違いがあるの?という感じでスタートしたツアーでしたが、ツアー最終日のバスの中では、「僕は生まれ変わるなら○○○人だなぁ」、「私は○○○が気に入ったわ」と皆様思い思いのお気に入りの国が見つかったようです。そんな私のお気に入りはカタールです。国民の優遇され具合がとても興味深かったからです。
5か国の共通点は“石油産出国”。オイルマネーに沸くリッチなお金持ちの国というイメージを抱く方がほとんどかと思いますが、実際もまさにその通り。ただし、その恩恵に預かれるのは国民のみ。国民のみと聞いてもそんなの当り前と感じることと思いますが、例えばUAEは人口のうち国民はわずか13%。カタールも大体15%程です。人口の大半はインドやフィリピンからの出稼ぎ労働者が占めています。アラビア湾岸諸国では、国民は自国にいながら少数派というおもしろい現象が起きています。私たちのガイドさんやドライバーさんもパキスタン人・バングラデシュ人・インド人の方がほとんどでした。道を歩いても観光地を散策しても国民にはなかなかお目にかかれません。
では、カタール国民の優遇され具合をいくつかご紹介します。
1. 道路はカタール国民専用レーンがある?!
2. 教育は大学まで無償。海外へ留学する場合もなんと国が全額負担!
3. 大学卒業後は土地と家が与えられる!(家というよりはお城級の豪邸です!)
4. 就職は新卒にもかかわらず管理職ポストを与えられる!(国民がつきたがらない仕事はすべて出稼ぎ労働者たちが担っています)
1の国民専用レーンを走る車は高級車ばかり。ナンバーを見てみると5桁・4桁・なかには3桁ナンバーも。ここカタールでは桁数が少ないほどにお金持ちの証なんだとか。1億円を支払ってまで3桁ナンバーを手に入れる人もいるほど、ナンバーはステータスとなっています。ちなみに1桁・2桁は王族ナンバーなので街中ではほとんど見かけることはありません。実のところ、国民専用レーンは存在しません。しかし、カタール人と外国人労働者が交通事故を起こした場合、カタール人に落ち度があってもかなりの確率で外国人労働者が罪を負うことになります。なので3桁ナンバーや、ドライバーがカタールの伝統衣装を着ている場合は自然と隣のレーンによけるため、実質上国民専用レーンが出来上がったそう。
この国民の優遇さっれぷりには驚きの連続ですが、ネットでは外国人労働者が暴露したカタールに対しての悪口はほとんどみかけません。なぜならカタール政府の厳しい検閲があり、悪口を書いたとなると即刻国外退去になることもあるから。なんだかカタールの実態が少し見えてきたような気がしました。
カタールをはじめアラビア湾岸諸国(今回訪れた5か国に加えサウジアラビアを含め6か国)はたった70年前の石油発掘前は遊牧民がヒツジやヤギを飼い、漁師が真珠採取で生計を立てていた貧しい国でした。
それが今ではオイルマネーを資本に超高層ビルが乱立する大都市へ、目覚ましい発展を続けています。しかし石油は限りあるものです。場所によってはあと数十年で石油が枯渇すると言われています。いつまでも石油資源に頼りっぱなしではいつか立ち行かなくなってしまいます。今は6か国とも同じように成長していますが、次なる手を打たなければ数十年後は明暗を分けるようなことになっているかもしれません。10年後に国の変化を確認しに再訪したいなぁと思いました。(岡山)
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