ポルトガル北東部、コアの岩絵を訪ねて
先日、「ポルトガル巨石文明絶景紀行 9日間」の添乗に行ってまいりました。今回のテーマは「石と古代文明」。一般的な周遊ツアーで訪れるリスボンやポルト、コインブラは通り過ぎ、古くは4万年前の、人類が生存した証を訪ねて、いざポルトガルの奥地へ。
旅のはじめにはコア渓谷の先史時代の岩絵遺跡群を訪れました。コア渓谷はポルトガル北東部、スペインとの国境近くにあります。1980年代、コア渓谷にダムを建設中一時的に水位が下がり、水中に沈んでいた岩絵をよーく見てみたらなんと絵が描いてあるではありませんか!!という経緯でたまたま見つかったのが、コア渓谷の岩絵群。その後はダム建設チームと岩絵保護チームの対立もありましたが、最終的に自然公園を作っての保護が決定、今では世界遺産に登録されるまでに至ります。
岩絵が描かれたのは1~4万年前。アルタミラやラスコーと同時代です。コア川の近くには、平らな岩がたくさんあり、まさに自然のキャンバス。このキャンバスの上に、動物の絵が複数重ねて描かれていました。いろいろな絵の線が交錯し、中には細い線もあり、初めのうちは少しわかりにくいかもしれません。ガイドさんに木の枝で線をなぞってもらい、一つのイラストごとに線が色分けされた図と見比べているとだんだん絵が浮かび上がってきました。
ところでこの岩のキャンバスは非常に硬く、火打石のようなさらに硬い石を道具に描かれたと考えられています。硬いキャンバスは細かい表現を可能にしました。毛の質感を出すために細かく短い線を用いた絵がありましたが、これは硬い岩のキャンバスならでは。また振り向いている様子を表現するために動きの流れに沿って首を2つ描くなど、現在の漫画でも使われているような表現方法も見られました。
まだまだ研究中の分野で、何のために岩絵を描いたのか、どうして重ねて描いたのかなど、わからないことだらけ。しかし、この古さを感じさせない表現力豊かな岩絵を眺めていると、想像が膨らみわくわくしました。(佐藤)
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