年にたった2回の奇跡。~アブシンベルの朝日~
2月22日。その名も「ラムセスデー」。太陽の光が神殿の一番奥にある至聖所まで届き、至聖所に並ぶ神々の像を照らすのです。至聖所には、左からプタハ神、アメン・ラー神、神格化されたラムセス2世、ラー・ハラクティ神と4体の像が並びます。しかし、照らされるのは、一番左のプタハ神以外。プタハ神は冥界の神だから、ただ単に移設の際にずれてしまったから、理由ははっきりしていません。そんな奇跡の現象を見るために、まだ真っ暗な内から人々が殺到するビックイベントなのです。
当日はアブシンベル神殿から、夜2時にホテルを出発します。日の出は6時27分頃。4時間も前に出る必要がないのでは?と思うかもしれませんが、朝日が至聖所の像を照らす時間は少しの間です。この日のために、何百人と世界中から、人々が集まり、列をつくるので、私たちのグループも気合を入れ、この時間から待機をします。昼間の観光時にはないセキュリティチェックも新たに登場し、準備は万全。夜が明けるまで、神殿付近で待機をします。世界遺産である、神殿の見事なレリーフをじっくり見ることができる機会もそうそうないでしょう。日の出の30分前になると、神殿内の明かりが一斉に消え、いよいよ!という雰囲気に。皆が待ち望んだ、真っ赤な朝日が顔を出すと、至聖所まで続く列が一気に動きます。出来るだけ、多くの人に至聖所を照らす朝日を見てもらうため、至聖所の前では立ち止まることができません。その時間わずか3、4秒・・・。ほんのわずかな時間ではありますが、確かに、朝日が一番奥の至聖所をめがけて一直線に差し込んでいるのがわかります。まだかまだかと後ろの人たちが、狭い神殿の中になりふり構わず入ってくるので、歩くのがやっとです・・・。朝日を拝み、まだ高揚感が残る中、外に出ると、この奇跡の現象を一目見ようと、神殿入口にはものすごい人の列ができていました。中には、警察が整備をしているにも関わらず、力づくで突破しようとしている人も・・・。このわずか数秒がどれだけ貴重か、外の状況を見て、ひしひしと実感します。音楽を奏でる団体、写真を撮る人々、神殿内での状況をお互いに話しながら、盛り上がる人々。アブシンベルが最も盛り上がる日といっても過言ではありません。
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