2017年4月12日 (水)

音楽の都ウィーンの舞台で「第九」を歌う(オーストリア)

楽友協会での第九コンサート

オーストリアの添乗より戻って参りました。いつもは観光をすることが旅の大きな目的ですが、今回のツアーはいつもとは趣向が異なりました。旅の目的は、「第九」を歌うこと。しかも、音楽の都ウィーン、会場は楽友協会の「黄金の間」です。毎年元旦に豪華な花で飾られた黄金色に輝くホールで開催されるニューイヤーコンサートをテレビで見たことがある方は多いのではないでしょうか。そこと同じステージに立って「第九」を歌うのですから、とても特別な企画のツアーです。

この旅は、日本を出発する前の事前練習会から始まりました。日本全国で申し込みされた参加者約170名が東京で開催された2回の練習会に参加し、徐々に調子を上げていきます。

そしてツアーが出発すると、コンサート前日には楽友協会にあるガラスホールでリハーサルがありました。ここでは日本からの参加者のほかに、ウィーンで応募したボランティアの方の合唱団と4人のソリストも加わりました。指揮者ヴィルト氏の指導で合唱はどんどん声量を増し、まとまっていく様が手に取るようにわかります。

ガラスホールでのリハーサル

そしてコンサートの本番当日です。午前中には「ゲネリハ」です。ウィーンカンマー・オーケストラとソリスト4名、それにウィーン少年合唱団の少年たちが加わり、本番と同じ構成でリハーサル。出演者がここで初めて揃いました。始めのうちは探るように歌いだしましたが、ヴィルト氏の指揮に合わせて各パートがのびのびと歌い始め、歌声はオーケストラに乗ってさらに高らかに響くようになり本番に向けての準備は万端。

その後、夕刻の本番を向かえました。会場は満席です。指揮者がタクトを挙げると静寂に包まれ、ベートーヴェン作曲「交響曲第九番」の演奏が始まりました。ウィーンカンマー・オーケストラの上質な音色が流れます。とても緊張感のある演奏です。第四楽章に入り、合唱部分に入ると「フロイデ!」の歌声がホール内に響き渡りました。オーケストラの音色を相乗し、ホール内の四方八方から包み込むような厚みのある響きです。ぴたりと息のあったオーケストラ、そして合唱の織り成すハーモニーに耳を傾けると、ウィーンで半生を過ごした作曲家ベートーヴェンの志がそこに再現されたと感じ、心が熱くなりました。感動で自然と涙がこみ上げてきたのでした。演奏後の大きな拍手が、その演奏の素晴らしさを物語っていました。
拍手に促されるようにアンコール曲に移りました。曲は「花が咲く」です。このコンサートが開催されたのは3月12日。このコンサートは東日本震災のチャリティーが目的でしたので、震災の犠牲者を追悼するためのアンコール曲です。ウィーン少年合唱団の少年が清らかに歌い上げるパートもあり、この歌声と追悼の思いが犠牲になった人たちの魂に届くよう祈らずにはいられませんでした。

こうして、ウィーン楽友協会の「黄金の間」という、世界に名だたる名ホールでのコンサートは終わりました。興奮冷めやらぬまま、打ち上げパーティを行っているところに、ソリストのソプラノ吉田珠代さんとテノールのジョン・健・ヌッツォさんがお越しくださり、ツアー参加の皆様はさらに大興奮。二人と一緒に撮影した写真は一生の記念になるに違いありません。

クラシックファン垂涎のウィーン楽友協会のステージに立つことが叶う旅。同行して、あの名曲「第九」の完成に至る過程を知ることができました。音楽の都ウィーンで歌った日本人合唱団の歌声は、きっとベートーヴェンの魂にも届いたと信じて旅を終えました。(斎藤さ)

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