約250年守り抜いた信仰心の継承(長崎・五島列島)
5/18発「五島列島巡礼の旅4日間」の添乗に行って参りました。
私にとっては日本における1549年からのキリスト教の布教や豊臣秀吉による伴天連追放令から禁教、弾圧、踏絵などを、日本史の授業で習ったけれど、深く掘り下げず済ませてきてしまった歴史の一部分でした。教科書にしてみたらわずか1ページほどの出来事でまとめられていることが、その歴史に踏み込んでいくとなんと痛ましく、悲しくも想像を超える驚異的な出来事だったことに衝撃を受けました。「1614年の全国への禁教令の発布から1865年の大浦天主堂にての潜伏キリシタン発見までの約250年。弾圧から逃れ信仰を守り抜いた。」と一文で終わらせてしまえばそれまでですが、現地を訪問し、3世代近くもの間、国からも世間からも非難と差別、命の危険にさらされながら、自分の信じるものを守り通したことや世代から世代に話しつがれた欧州の司祭、宣教師や想像だけのものであった教会を長崎で目にした五島からの潜伏キリシタンの人たちの心境はいかばかりだったかを想像すると胸を締め付けられました。禁教が解かれてからも貧しい信徒の方々が漁をしてのわずかな稼ぎと自分達が建設の労働に従事することで教会を建てられたという話などを聞きながらあちこちの教会を巡っていく内に、人々の念願の想いが凝縮して出来た教会ひとつひとつが素朴ながらも尊いものに見えました。いまこの五島を新しい世代の人が新しい形で観光アピールをしています。そうした活動の中でも過去の歴史を大切に大切に思う心が積極的な言葉ではなく、現地の人の優しい謙虚なオーラから感じられました。
本場ヨーロッパのような巨大な教会はひとつも五島にはありません。素朴な造りの教会、素朴ながらも本場に負けない交差ヴォールド天井や柱頭飾りがついた列柱の内装、日本建築を取り入れた教会などなど。小さな島国日本・・・ではなくここ五島だからこその教会。ヨーロッパのような巨大さによって圧倒もさせず、豪華絢爛ではないけれども、守り通した信仰と強い精神、謙虚でいて美しい五島の信徒の方々を象徴した教会は、ほっこりして温かみを感じさせられました。失礼かもですが、そう思ったのも教会が平屋でいて日本家屋的な造りから、自分が生まれ育った昭和初期の木造家屋に重なって、自分の家にも近いようなものを感じさせられたのもあるかもしれません。
また私事になりますが、不思議なことに、この添乗から帰国しましたら、4月から重だるかった5月病のような体の不調と気分の沈みがカラリと治りました。島の雰囲気や空気の良さ、優しい現地の方たち、素晴らしい景観、教会群、美味しい料理の要因も考えつつ、ちょっとなにかしらの病を癒す奇跡を頂けたかなと感じずにはいられませんでした。(高橋)
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