2017年6月23日 (金)

フランス人が「異郷の地」と呼ぶブルターニュ

この度、ユーラシア旅行社の「のどかなブルターニュの田舎巡りと印象派の故郷ノルマンディー 12日間」より帰国しました。
ブルターニュ地方はフランス北西部の突き出た半島の部分。パリや他のフランス主要都市からの交通は不便ですが、静かでゆっくりとした田舎町独特の雰囲気が感じられるのが魅力です。

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ブルターニュの人々の祖先は、自然や精霊を信仰するケルト人です。その後やってきたローマの文化を取り入れながらゆっくりと融合し、5世紀頃にはブリテン島(イギリス)からやって来たブリトン人によって再びケルト化されました。その後、ノルマン人による支配を退け、大国となっていくフランス・イギリスと戦いながら独立を守ってきました。1532年にフランスに併合されますが、長い間、独自の文化と伝統を守ってきたからこそケルト文明の影響が色濃く残り他の地域とは違う魅力が感じられます。

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ヨーロッパに行くと教会ばかり、とたまに耳にしますが、ブルターニュでは他とは一味も二味も違う教会を目にする事ができます。それが「聖堂囲い地」という複合教会施設です。その名の通り、壁に囲まれた聖堂です。聖堂の他に、納骨堂、墓地、キリスト磔刑像がセットになって、敷地の入口には立派な凱旋門が取り付けられているのが特徴です。
ケルト的な考えでは死の世界と生の世界はすぐ近くにあり、先祖の魂は家の庭先やその辺の石などにいて、いつも生きている人間と一緒にいるというものでした。キリスト教化が進む中、死の世界を一ヵ所にまとめ、生の世界から訪問できるような場所をつくったのがきっかけだといいます。
この聖堂囲い地は、大都市の中心から離れた村の庶民の為の小教区だったところにあり、ブルターニュの中でも最も独特な地域と言われるフィニステール県には特に沢山あります。その殆どは亜麻の貿易で経済的な繁栄を迎えた16、17世紀に建てられました。教会の力を見せるため、隣の教区と競って立派な聖堂を建てた時代だったそうです。
聖堂囲い地があるところは遠くからでも「カルヴェール」と呼ばれる磔刑像が施された背の高い柱が目に入るのですぐに分かります。バスを少し走らせれば「あ、ここにも」、「またここにも」と次から次へと見えてきます。時には、住んでる人がいるのかな?と思う程に過疎化した小さな集落にも不釣り合いなほどの立派な囲い地があるのです。
でもなぜか、時間ともに風化し黒ずんだ聖堂やカルヴェールの周辺には、牛や羊がのんびりと草を食む草原の景色が似合うのです。

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また、そば粉のクレープ「ガレット」もブルターニュ独特の物です。クレープというと日本では生クリームやチョコレートの入ったデザートが定番ですが、ブルターニュでは食事として食べます。デザートとのような甘さはなく、具材はチーズ、トマト、マッシュルームなど。地元の食材がパリパリとした薄焼き生地に包まれ独特ですがとても美味しく、虜になってしまいます。町のあちこちにクレーペリエと呼ばれるお店があり、持ち帰りも店内での食事も可能です。
ブルターニュを訪れたら是非食べてもらいたい絶品です。(関根)

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