ブルチノフ村の王様の騎馬行進
先日「チェコ・スロヴァキア・ハンガリー物語 15日間」より帰国致しました。
中世の歴史、文化、芸術の詰まったチェコ、ドナウ川に面するスロヴァキア・ブラチスラバ、大平原の広がるハンガリーの3ヶ国の魅力をたっぷり堪能して参りました。
今回のツアーでは、5月ならではのプラハの春音楽祭、一面に新緑の広がるモラヴィアの大草原など盛りだくさんの日程でした。
中でも、チェコの小さな村ブルチノフでは、年に一度「王様の騎馬行進」と言うお祭りが開催されます。200年以上の伝統を持つこのお祭りはユネスコ世界無形文化遺産にも登録されています。毎年5月の最終日曜日に行われるお祭りで、村から10歳くらいの男の子が一人選ばれてその年の王様となります。この王様の騎馬行進は、当時モラヴィアとの戦いに負けたボヘミア王が、敵に見つからないように国から逃げるために、女装をして町を去ったところから始まったと言われています。王様の選出には、お金もかかるので両親のサポートがなければ王様にはなれません。1月に選ばれて、このお祭りに向けて準備をします。
ブルチノフ村は人口3000人ほどの小さな村なのですが、村に到着すると、モラヴィアの民族衣装を着た地元の人々や観光客で大賑わい。年に一度のこのお祭りの日は、周辺の村からも多くの村人が集い、楽団の演奏や子供たちの遊戯など、とにかく地域が一体となって盛り上がる瞬間です。村ごとにデザインが異なり、どれも特徴的な彼らの民族衣装は、実は古くはその衣装を着て結婚相手を探していたのだそうです。同じ村の者同士での血縁婚をける為に、自分と異なる民族衣装の相手を選ぶ必要があったのです。
お祭りの雰囲気を味わいながら、王様の男の子の家へ。家の前にはテレビの取材や観光客でいっぱいです。徐々に衛兵の騎馬が家の前に列を作ります。衛兵は同じくこの村の18歳の男の子のグループで、毎年お祭りの最中に、当時17歳の男の子を集める馬車が走ります。これは立候補制で誰でも参加することができます。そしていよいよ王様の登場!王様は口に白いバラを咥え、二人の護衛を従えて馬に乗って静かに行進します。王様が身に纏う白いバラと白い衣装は純潔を表しており、ボヘミア王は花婿のもとへ向かう花嫁に扮して国外逃亡を謀ったのです。可愛らしい王様とイケメンの衛兵たちに見惚れて行列を追っているとあっという間に時間が過ぎていきました。
王様の騎馬行進はかつては各村で行われていた行事だったのですが、現在毎年行っているのはブルチノフ村のみとなってしまいました。小さな村の大きなお祭りに今後の発展に期待が膨らみます。(西澤)
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