シベリア鉄道の旅は、1日にしてならず(ロシア) その4
8月17日発「シベリア鉄道走破の旅 ~9,259㎞、ウラジオストクからモスクワへ~ 15日間」の連載ブログ第4回目です。
シベリア鉄道の楽しみのひとつは、車窓から見える景色でしょう。同じ景色が続くとはいえ、眺めていると疑問に思ったり、おやっと思うものが見えたりするときがあります。
私は、ウラジオストクからモスクワまでの区間で特に好きだった景色は、前半でした。ウラジオストクから出発したては、進行方向左側の車窓から金角湾がしばらくの間見えました。ウラジオストクは半島にあり、その半島の西側に線路が敷かれ、北上していきます。ウラジオストク駅を19:10発でしたので、夏の時期はちょうど夕方に差し掛かり、いよいよ旅が始まる、という気持ちとともに眺めた金角湾の夕景は忘れられません。翌朝、ハバロフスク駅を通過直後にアムール鉄橋を渡ります。昔は、アムール川越えには地下トンネルを使っていましたが、いまは鉄橋で渡りますので、雄大なアムール川の光景も印象的です。その後、ザバイカリスキー地域に入ると、ブログその1でも書きましたが、鉄道工事難航区間へ。美しい自然と工事難航区間だったことを知っていると、何気ない自然の景色からもさまざまに思えることでしょう。そのザバイカリスキー地域は、2012年まで大きな川に架かる橋や舗装路がなかったそうです。それをプーチン大統領になってから道路整備が一部ではありますがすすめられたそうです。
何もない広野(畑も周辺に見かけない)に、ときおりぽつぽつ見える木造の家。時には簡素な一軒家も。さて、ここで不思議に思うわけです。ここで生活する人たちはどうやって生活しているのかと。たまたまこの地域出身の現在、鉄道関係者の方が同じ車両に乗っていたのでその疑問の答えを知ることが出来ました。線路脇に見える家は、鉄道補修関係者の家だそうで、冬の時期などは雪かきの除雪車など動かしたり、場合によっては人の手で除雪したり、電線などに異常があれば駆けつけるそうです。また先述した舗装路がまともになく、その前後で大きな町らしきものがないような場所でお店のようなものが見えず、数軒民家が建つだけの場所では、週に何回か、日用品から食料などを乗せた列車が最寄駅に来るそうで、そのときに駅に行き必要なものを購入するのだと。シベリア鉄道では小さな駅は通り過ぎてしまいます。しかし通り過ぎる小さな駅も、その地域に住む人にとっては移動手段以外に重要な駅なのです。更になにもないところに見えた簡素な一軒家は、鉄道工事に携わる人の休憩小屋兼作業道具置場なのだと。特に冬の時期は暖を取るのに重要。舗装された道路もなく、町もないようなザバイカリスキー地域で、いま自分が乗っている列車がたくさんの鉄道関係者の人たちによって安全に運航されているのかということが身に染みる話で、じん・・・としました。イルクーツクに近づいてくると、舗装された道や橋が普通に見え始め、牛や馬の放牧された集落などが見え、ちょっとした車窓の見えるものへの変化にも嬉しく、楽しく思いました。
もちろん、自然の美しさも素晴らしいもので、よく見られる白樺も幹が細かったり、太かったり、背が高かったり、低かったり。嵐などで倒れた木が残る自然そのままの白樺林、緩やかな小山が続く山稜区間、黄色やピンク、薄紫の野花、人家の庭に植えられた向日葵。線路を並走する小川やときに鉄橋で渡るシベリアの大河。これらの大河は、その先で更なる大河アムール川やレナ川などにつながっていたりし、その大河を航行して冒険者や探索隊が未開の地シベリアに向かったのか、ウラジオストクもハバロフスクもそのような探索隊によって発見されたのかと通り過ぎていった町のことを連想してみたり・・・。 そうはいっても飽きちゃうのよね、という方は、ウラジオストクからモスクワまでの間で所々で見える給水塔を探してみましょう(上記写真は給水塔です)。その形はサイロにもムーミンハウスにも見えるもので、かつてシベリア鉄道が蒸気機関車で走っていた時代の名残です。駅に見えたり、なにもないところで突然見えたり。その建設素材やデザインも様々なので、あの給水塔は可愛い、あの給水塔は木造だった、あの給水塔は・・・と見つけては考察したり、頑張って移動する車窓から写真を撮ったりして楽しんでみてください。
第5回目以降は掲載未定です。
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