ウズベキスタンの古代仏教都市テルメズ訪問。故加藤九祚先生の功績にも触れました。
先日、「テルメズの仏教遺跡とウズベキスタン周遊」の添乗より帰国致しました。世界遺産ヒワ、ブハラ、サマルカンドの素晴らしさは多くの方がご存知かと思いますが、この旅のハイライトは何と言っても仏教遺跡で有名なテルメズ。ウズベキスタン最南の街で、アムダリヤ川の対岸はアフガニスタンです。アレクサンダー 大王時代に遡る歴史を持ち、2002年に街の創立2500年を迎えました。
かの玄奘三蔵もインドへの旅の途中にこの地を通りました。大唐西域記には「伽藍は十余箇所、僧徒千余人」と書かれており、玄奘が旅した7世紀前半にはテルメズの地が一大仏教都市であったことがわかります。
そんなテルメズですが、実は日本と大きな関わりがあります。テルメズの仏教遺跡発掘には日本人、加藤九祚先生が大いに貢献されたのです。遠い日本からやってきて発掘に専念する加藤先生の姿勢、深い考古学的知識、ウズベキスタンという国に対しての敬意・理解が認められ、2002年にウズベキスタンの大統領から直々に友好勲章が授与されたほどです。
「発掘しながら、パッタリ死にたい」と仰っていた加藤先生は、2016年9月発掘作業中に倒れ、テルメズの病院で亡くなりました。加藤先生の訃報に際してウズベキスタン政府は「国民にとって大きな損失」と哀悼の意を表明し、大きく報道されました。テルメズの考古学博物館を訪問した際には加藤先生の功績を讃える特別展も開かれていました。
ツアーで訪れるカラ・テペの北丘では加藤先生の発掘した巨大な仏塔を雨から守るため屋根が設けられていました。ここではストゥーパの中にシリンダーのようにストゥーパが入っている、入れ子状の珍しいものが発見されました。また、立正大学の発掘チームの方々が先生の遺志を継いで発掘にあたられていて、発掘の進行状況を伺えるという嬉しい偶然もありました。最後にタシケントの歴史博物館で加藤先生がフォヨズ・テペで発見した三尊仏を見学し旅の締めくくり。いつかアムダリア川の向こうアフガニスタンの治安が落ち着き、さらなる仏教遺跡をご案内できる時が待ち遠しく思えます。
(尾崎)
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