特別開帳が目白押し!八十八面観音巡礼(奈良)
先日、奈良県の八十八面観音を巡礼するツアーに行ってきました。「八十八面観音」と聞いて首をかしげる方もいらっしゃるかもしれませんが、これはあらゆる方角を向いて私たちを厄災から守って下さる十一面観音を八体巡り、その八十八面のお顔を拝むことを意味します。「子供の十三歳・女性の三十三歳・男性の四十二歳」の厄年の合計八十八歳と同数になることから、八十八面観音巡礼をすることで、人生における全ての厄災から救われるとして信仰を集めているのです。
ところで古くから信仰されてきた観音様とは、どのような存在なのでしょうか?まず仏様を大まかに分類すると、「如来」・「菩薩」・「明王」・「天」の4グループに分けられます。「如来」は悟りを開いた方、「菩薩」は如来を目指して修行しながら人々を救う存在、「明王」は如来の変化身で悪い道に進みがちな人間の行動や心を抑制する存在、「天」とは神様のことで仏法を守護する役目を持っています。
私たちが観音様と呼んでいるのは、「(観音)菩薩」のことで、十一面観音はその変化身のひとつです。苦しんでいる人を見つけられるよう頭の上に十一の顔があり、あらゆる方角を見守っていて修羅道でもがく者を苦しみから救って下さるのです。
今回の旅で拝んだ中で、私が最も感激したのは聖林寺の国宝の十一面観音立像でした。なんといっても素晴らしいのは木心乾漆造の像にもかかわらず、全く固さが感じられずまるで本物の布のような天衣、しなやかな手の動き。アメリカ人の東洋美術史家フェノロサが「東洋のヴィーナス」と絶賛したというのも納得です。また、十一面観音はふくよかな女性をイメージさせる(菩薩には男女という性別はありません)像が多い中で、切れ長の目で正面を正視し、人々を導くような凛々しさがあるように私には感じられました。
もしかしたら「仏像はどれも似ていて区別が難しい…」と思う方もいらっしゃるでしょう。私も以前はそうでした。ですが、仏像は服装や持ち物、顔の表情等それぞれに違いがあるので、一度特徴を覚えればその魅力にはまること間違いなし!普段は見ることができない秘仏が、一気に特別開帳される秋の奈良。来年はどこのお寺を見ようかな?と今から楽しみになりました。(坂田)
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