2017年11月 8日 (水)

秋の南西フランスで中世の村での暮らしを思う

 この度「南西フランス、絵のような風景へ 13日間」より帰国しました。
 秋の南西フランスは絶景の連続。

サン・シル・ラポピー

 赤砂岩で造られたコロンジュ・ラ・ルージュ、ドルドーニュ川沿いの断崖にへばり付くようなラ・ロック・ガジャック、聖地ロカマドゥールなど、本当に絵に描いたような風景が見られます。
村の多くは都会から離れた山間にあり、暮らすにはとても不便。住む人が減って過疎化しています。だからこそ、近代化せずに、中世の面影を残す美しい村となっています。
 例えば、ロット川沿いの岩山の上に佇むサン・シル・ラポピー。かつては川を往来する船から税金を取って栄えていたそうですが、現在は人口わずか200人の静かな村です。サン・シル子爵が住んでいた城跡を利用した展望台から、可愛らしい村と周辺に広がる美しい自然そして蛇行して流れるロット川がよく見えました。

サン・シル・ラポピー title=

 展望台までの坂は少し急ですが、村は小さいのであっという間に絶景ポイントに行けます。「こんな絶景を眺めながら暮らしていたのかぁ」と羨ましく思いながらも、雨の日は大変だろうな、とか、ちょっと物を落としたらコロコロと村の外まで転がって行ってしまうのかなとか、色々想像してしまいました。
 展望台から眺めるその絶景は頑張った分だけ新鮮に、いつまでも心に残る風景となるでしょう。
 

朝のコンク

また、サンティアゴ巡礼路の途中にある聖地コンクでの早朝散歩は、まるで中世の村に迷い込んだかのような体験ができます。
 早朝、ようやく辺りが明るくなってきた頃に外に出ると、息も白く、ぶるぶるっと震えがくる位寒いけど、澄んだ空気で深呼吸すると身も心も浄化されたようにすっきりします。
 辺りは深い朝靄で包まれ、周りは何も見えません。足元の石畳の模様を目印に歩いていると前方にうっすらと黒い影が浮かび上がってきました。本当に中世だったら、山賊か?魔物か?とおびえるシーンかも知れません。恐る恐る歩みを進め、徐々に形がハッキリしてきて、威厳あるサント・フォア教会の姿に安堵するのです。
 正面のタンパンには実に見事な最後の審判の浮彫が装飾されています。天国の場面にすまし顔の天使や聖人、善人が整然と並べられています。一方、罪人や悪魔がごちゃごちゃといる地獄の場面。大きく口を開けた怪物の口から人間の足が出ていて、まさに地獄に引きずり込まれる様子を表現しています。地獄の世界では様々な苦痛が待っています。棒に縛り付けられて火炙りにされている人間、それを運んでいる悪魔はいかにも悪い奴といった顔です。首をつられていたり、舌を抜かれていたりしている罪人のそれぞれの表情や動きがとてもリアルで、でもちょっとコミカルで、怖いのに見ていて飽きません。そのうちに、「こうはならないように、真面目に生きよう」と思って教会の中に入ります。

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 朝の光を取り入れ輝くステンドグラスや天上まで美しく伸びた列柱を見ると、心が落ち着きます。厳かな雰囲気の中で、天国への導きを願い、神の家に辿りついた事に感謝し、また新しい一日を有意義に過ごそう!と心に誓うのです。
 秋は夏より観光客が少ないので、観光客が帰った夕方以降は他に人がいないんじゃないかと思うほど静かです。車も乗り入れできないので、現代的な物が一切目に入らず、本当に中世のヨーロッパにいるように感じられます(関根)

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