2018年1月 9日 (火)

奴隷海岸を歩いて思ったこと(西アフリカのガーナ)

先日、西アフリカのベナン、トーゴ、ガーナ3ヶ国を巡るツアーから帰国しました。

西アフリカ一帯は年間を通して気温が30℃前後の熱帯地域です。
11月~4月の乾季は比較的過ごし易い気候と言われていますが、沿岸部などは海風で湿気が多く、熱帯特有のねっとり肌に纏わりつくような重い空気の中で汗をかきかき、観光をしてきました。
今回のツアーの中では、西アフリカの土着信仰であるブードゥー教やガーナのアクラで黄熱病の研究に携わった野口英世の研究室、世界遺産のダホメ王国の宮殿跡など見どころは多くありましたが、私が一番印象に残ったのは、現地で知り、体感した奴隷貿易のことでした。

今まで奴隷貿易と言えば、アフリカ大陸にずかずかと勝手に踏み込んできた白人達が力ずくでアフリカ人を連行し、奴隷船に寿司詰めにして運び去ったという思い込みがあったのですが、実際のところは同じアフリカ人の奴隷商人もしくはアフリカ人の王国が現地で強制的に奴隷をかき集め、白人達に売っていたのです。
また「奴隷海岸」で有名なベナンからトーゴ、ガーナに至る海岸線にはポルトガルやスペイン、英国、フランスやオランダ、デンマーク、スウェーデンが造った、数百か所以上もの要塞兼奴隷収容所が数珠繋ぎのように点在しています。アフリカ人の奴隷商人から奴隷を買い取った列強の国々は海岸に造ったこの要塞内に奴隷たちを押し込めていました。

光もろくに差し込まない暗くてジメジメした狭い地下牢。
実際に踏み混んでみると空気がよどみ、一瞬でじっとりと汗が噴き出てきます。
重い木製の扉を閉めてみると、昼間でも真っ暗。勿論風呂もなければトイレもありません。
奴隷船がやってくるまで約3ヵ月間。
一つの要塞につき、約1000人。
一つの部屋につき、約200~400人。
こんな蒸し暑く小さな空間に人間をギュウギュウ詰めにして何日も閉じ込めておくなんて正気の沙汰じゃない。
しかもここが始まりで、もっと過酷な奴隷船に積まれて9ヵ月間も航海し、
辿り着いた地では永遠に奴隷としてこき使われるのです。

奴隷や奴隷船のひどい話は今まで何度も聞いたり読んだりしたことがありましたが、
実際に訪れて地下牢の暗さと狭さ、そして暑さなどを感じながら、彼らがおかれた同じ場所に立ってみると、想像を遥かに越える劣悪で、過酷な場所だったことを痛感しました。

奴隷海岸の平和な風景

今現在の奴隷海岸はあたかも何もなかったかのように静かで、時おり子供たちが犬と一緒に波打ち際をのんびり歩いています。
丸く見える水平線を見渡し、奴隷たちが辿った過酷な旅を想うと胸が苦しくなりました。
(上田)

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