西安、敦煌、ラサ、歴史と文化と信仰に触れる旅
先日、「西安・敦煌・青海チベット鉄道」のツアーから帰国しました。
旅のスタートは、古くは長安として栄えシルクロードの起点でもあった歴史ある街、西安です。まずは唐の皇帝玄宗と楊貴妃縁の地、華清池へ。温泉地として唐の歴代皇帝が利用し、特に玄宗が楊貴妃の為に離宮等を建設しました。玄宗と楊貴妃が仲睦まじく過ごした様子が長恨歌にも詠まれています。そんなロマンチックな場でもありますが、1936年には西安事件が起こり、蒋介石がこの地で監禁され国共合作へと繋がった、歴史のターニングポイントの場にもなりました。
華清池の次は兵馬俑と秦の始皇帝陵へ。時代は唐から秦へと遡ります。兵馬俑博物館は、1号抗、2号抗、3号抗と分かれています。その中でもやはりメインは1号抗。始皇帝の陵墓を守る為に造られた兵馬が一面に並ぶ光景は圧巻です。兵馬俑を見学した後は隣の始皇帝陵へ。未だに発掘されていない陵墓の中は、金銀宝石を散りばめた星空に水銀の川、始皇帝が生前過ごした阿房宮が再現されていると言われています。その内部は司馬遷の『史記』にしか語られていません。足元に浪漫を感じながら西安市内へと戻りました。
<兵馬俑>
午後は明代に造られた城壁を見学した後、三蔵法師が経典を持ち帰り、翻訳に努めた大慈恩寺大雁塔へ。時代は再び唐へと戻ります。約250段の階段を上り、西安の街を眺めました。西安最後の観光は絲綱之路起点群像。シルクロード東の起点であったことを記念し建てられた像を見学しました。像の中には西安からシルクロードを切り開いた張騫の像も。
西安観光の次はシルクロードのオアシス都市、敦煌。敦煌到着後は鳴砂山と月牙泉へ。ラクダに乗って砂漠を行き、かつてシルクロードを旅したキャラバンの気持ちを味わいました。翌日は4世紀から作られ始めたとされる莫高窟の観光。シルクロードを通じて中国は勿論、インド、中央アジア、ペルシア、果てはヨーロッパのローマ、ギリシャまで、様々な文化の影響を受けた美しい壁画、仏像を見学しました。
西安、敦煌と観光した後はラサへと向かうべく、ゴルムドから青海チベット鉄道に乗車。約13時間かけながら、時に標高5000m以上を走り太陽の都、ラサへと向かいました。ラサ駅で下車すると太陽の都の名に相応しい、突き刺す日差しがお出迎え。1日休んで標高の高い地に少し慣れてから観光へと向かいます。
ラサではポタラ宮を始め、ダライ・ラマの夏の離宮ノルブリンカ、チベット仏教最大の聖地ジョカン寺など、チベット仏教に纏わる地を訪問。現在ダライ・ラマ14世はインドに亡命しており、最高指導者は不在であるものの、禅問答の様子や五体投地をする人々を見るとラサの人々の信仰心の篤さを感じました。
古都西安に始まりシルクロードからチベットの聖地まで、歴史、文化、信仰すべてに触れた、充実した9日間でした。(永田)
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