3年ぶりに再開のチュニジアの古代遺跡はやっぱり素晴らしい!!
<世界遺産古代ローマ遺跡ドゥッガ>
先日「チュニジア・サハラ浪漫紀行10日間」より帰国しました。
3年ぶりに再開したチュニジアツアー。
自らをモザイク国家と称するチュニジア。それは世界最大の古代ローマモザイクコレクションを持つ所以だけではなく、小さな国土に様々な気候・歴史・文化がモザイクにはめ込まれた小さな石のように集まり、チュニジアという国を作り上げているからでもあります。
実際、わずか3時間も走ると周りの景色が緑豊かな田園風景から荒涼とした砂漠へ姿を変えるのです。
7年前のアラブの春の始まりの国チュニジア。政治が良くなったけれども経済が伴わず、なかなか大変という割にはどの町でも優しく暖かく歓迎してもらいました。
そう、チュニジアは複雑な歴史所以か、多様性のある懐深い、世界有数の古くてそして新しい国家なのです。
そのため、語りつくせないくらいたくさんの楽しいことがありました。
というわけで、砂漠方面は次回にして今回は二つのトピックを語りたいと思います。
一つ目は、古代遺跡の素晴らしさです。
チュニジアは3000年前、カルタゴという巨大国家の首都でしたが、古代ローマとの3回に渡るポエニ戦争で滅んでしまいます。
ポエニ戦争はともかく、ハンニバルやスキピオという名を聞いたことがある方もいらしゃるのではないでしょうか。
100年後、ローマのアフリカ属州の首都としてチュニジアは復活を果たします。
この時に起きたのが、オリーブオイルバブルです。
今でも豊かな土壌に等間隔に植えられたオリーブ畑が広がるチュニジア。
古代ローマではもっともっとたくさんのオリーブの木が植えられていたことでしょう。
オリーブオイルは食事にも、美容にも、潤滑油としても使用され、葉は薬に、木材も建築素材として人気でした。
しかも、チュニジア産は質がいい!ということで高値で取引されていたようです。
<チュニジアの オリーブ畑>
この結果、オリーブ畑の中にあった街、古代ローマ都市のエル・ジェムは人口の3倍近い3.5万人も観戦できる円形闘技場を造ってしまったのです!現存する古代円形闘技場で唯一地上と地下が残る貴重な遺跡で、1800年も前に地下から剣闘士や猛獣がせり上がり登場するリフトシステムが存在していたのです。
客席部分からアリーナを眺めていると、ふと、砂の間から剣闘士が現れて当時の人々の歓声が聞こえてくるような…そんな錯覚に襲われます。
この堂々とした闘技場は時代を下りイスラームの頃は何と城塞の役割も果たし、今でも街で一番の建造物と言っても過言ではありません。
<エル・ジェム円形闘技場>
それ以外にも世界遺産になった山の斜面に作られたドゥッガは市場に住居、そして浴場・公共トイレに売春宿…計算された街並みを歩いているだけで、人々の生活の声が聞こえてきそうになります。
二つ目はモザイクです。
2世紀から3世紀、古代ローマのモザイク文化は頂点を迎えました。写実的な絵画の様な生き生きした魚や動物、美味しそうな食材からローマ神話の一場面が切り取とられた躍動感あふれるものまで、いついつまでも引き込まれてしまう美しいモザイクの数々はチュニジアの様々な古代ローマ遺跡から発見されました。
私の大好きなバルドー博物館は17世紀のオスマン帝国の総督の宮殿という贅沢な空間に本当に溢れるほどの古代ローマモザイクが展示されています。
その中でもお気に入りはいろいろありますが…今回紹介したいのは「ポセイドンの勝利」に出てくる四季の春を擬人化した女性です。
顔の陰影がとても、なんというかアンニュイで素敵なんです。
<バルドー博物館 ポセイドンの勝利>
春なので明るい雰囲気なのに、あんまり笑顔ではないところが、逆に春の不安さが出ていて素敵だなぁと思うのです。
この表情を自然の石のみで表現しているのです。
いやはや古代ローマの芸術性と職人の技術に脱帽です。
<バルドー博物館 ポセイドンの勝利2>
語りつくせない古代ローマの息吹きを国中で感じられるチュニジア。
その魅力に一度でもはまったら…時代をさかのぼったり下ったりしてカルタゴの世界やイスラームの世界へ引き込まれること間違いなしです。添乗員:齋藤晃子
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