2018年8月23日 (木)

太平洋の沈みゆく島ツバル・キリバスの今(ツバル・キリバス)

先日、ツバル、キリバスと最後の秘境ナウル12日間のツアーから帰国しました。 訪れた7月は3~11月まで続く乾季のシーズン。3ヶ国とも赤道直下もしくは周辺の国なので、一年中熱帯の気候が続き、平均気温は30℃前後。小さなプロペラ機がキリバスの空港に着陸してタラップに降り立つと、肌を突き刺すようなジリジリ強烈な日差しと熱帯特有の肌にねっとりまとわりつくような湿気と蒸し暑さを感じました。まさにイメージ通り。半ば覚悟していた通りの熱帯の島々にはるばるやってきたことを実感しました。

ツバル、キリバスは両国とも平べったい島です。
実際に島を歩いていると足元の薄さ、標高の低さを実感できませんが、船で沖合にでて遠くから陸地を眺めてみると、本当にペラペラ。もちろん山はないし、丘などの起伏も坂道も全くなし。島全体を覆っているこんもりした椰子の木などの緑の茂みを取り払ったら、驚くほど薄いんだろうな、というのが想像できます。

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<ぺったんこのキリバス>

両国を比較してみると、キリバスは人口11万人、面積は琵琶湖よりもシンガポールよりも大きく、京都市と同じくらいの大きさ。最高地点は標高81mの島もあります。人口が比較的多く、海に散らばる島々の範囲も広いので、人々の生活を見る限りそれほど海面上昇とか地球温暖化は気になっていない感じを受けました。しかし現地の役人に話を聞くとキリバス政府は将来、島が沈んだ際に国民が集団移住することを前提に動き出しているそうです。
既にフィジー政府との合意もあり、移住先であるフィジーのヴァヌア・レヴ島の土地購入も完了しているのだとか。のんびりとした人々の暮らしぶりや訪れた主島タラワ環礁の、のどかな風景からは国家存亡の危機を全く感じられませんでしたが、この土地購入の話を聞いて、やはり海面上昇により国が水没してしまう、どうしようもない現実を垣間見たような気がしました。

一方の小国ツバルの方が事態はより深刻です。
全人口が約1万人足らず、計9つの島の面積を合わせた大きさが羽田空港と成田空港を足した程度の大きさしかなく、海面からの高さは平均1~2mしかありません。

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<あっという間に高波でのまれそうなツバル>

年に一度、2月頃に発生する大潮の時には、まるで洪水のように庭先や道路が水没し、至る所が水びたしになります。主食であるヤシ、バナナ、イモ畑の塩害も甚大で、年々水没する範囲が広がっているとの悲痛な話も耳にしました。食料自給率が低くなり、輸入食料(缶詰が多い)や清涼飲料水に偏り始めたことで糖尿病も激増しています。時期的な水没にせよ、昔から使っていた井戸が海水の流入で使えなくなったことに加え、住み易い町に人口が流入したことも重なり、生活用水は海水をろ過するプラント施設が必要になりました。そのプラントを稼働させる為に必要な電力はディーゼルによる火力発電。もちろん軽油や石油は100%輸入に頼っています。伝統的な食糧や生活道具が自然に還らないプラスチックが多く使われる輸入の食料品や 生活用品に代わったことによりゴミ処理問題が深刻になりました。ツバルは国際会議で二酸化炭素削減を訴えている立場もあってゴミ焼却が進まず、リサイクル施設も無い為に全てのゴミは野外のゴミ捨て場に野ざらしになっています。日本を含め各国からの援助は港湾や道路、水処理施設などのインフラ整備に偏っており、ツバル政府もゴミ問題には関心がないようです。

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<ツバルのゴミ最終処分場>

主島フナフチ環礁周辺の小島では完全に水没し消滅してしまった島もあります。ツバル政府の試算によるとこのままのスピードで海面上昇が続けば、あと50年で高波などの被害も加わり国土の大部分が水没する可能性があるそうです。実際にツバルやキリバスを訪れてみて、海面上昇は、さまざまな方面にわたり、悪のスパイラルを引き起こしていることを知りました。今回の訪問では、20年も前からツバルの現状や環境問題を世界に発信し続けている団体「ツバルオーバービュー」の協力でマングローブを植えてきました。マングローブは砂浜にしっかり根を張るため、高波・高潮からサンゴや砂浜の浸食を食い止める効果があるそうです。私たちの植えたマングローブが成長し、やがて大きく立派な根を張り、小さな島国ツバルの防波堤になることを願いを込めた、ツバルにとっても希望のマングローブです。

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<マングローブ植樹(フナファーラ島)>

出発前に気になって調べてみたら、「地球温暖化」、「海面上昇」という言葉が盛んに飛び交うようになって、温室効果ガス(二酸化炭素など)排出削減を定めた京都議定書が発効されたのが、もう20年も前でした。自分の身のまわりの生活を改めて見回してみると、今夏はクーラーをフル稼働させ、夜の街には電気が煌々と灯り、電気の使用制限もクルマの走行制限もありません。「クールビズ」は相変わらず実践中ですが、地震後の「原発エネルギー問題」や猛暑の「熱中症」対策の前に節電・節約意識が薄れているような気もします。どれほど温室効果ガスは削減出来ているのか、果たして前進出来ているのか後退してしまっているのか、一般市民には全く実感できないのが現状です。しばらくは真っ白な砂浜と透明な海、風に揺れる椰子の葉の美しいツバルの島を思い出しながら、無理せず日々の生活の中で節約をしていこうと思います。(上田)

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<ツバルの美しい海(フナファーラ島)>

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