サルディーニャ島のタロス遺跡で折り重なる歴史を目撃!(イタリア)
遺跡観光というと、まず、ギリシャ遺跡なのかローマ遺跡なのかなど、それを築いた文明はどこかが気になるところですが、タロス遺跡はサルディーニャ独自の先史文明であるヌラーゲ文明、そしてフェニキア文明、ローマ文明が時代は違えど同じ場所に都市を築いたというユニークな経歴の持ち主。
そのため、例えばフェニキアの井戸があったかと思えばすぐ隣にローマの水道橋が走っていた跡があったり、大通りの石畳を見ても、きっちりと平らにならされたローマ人の几帳面な石畳が剥がれたところからは、丸石を無造作に並べたフェニキア時代の石畳が顔を出していたり。そんな複数の時代を見比べることができるため、さながら野外博物館のようです。
タロス遺跡が長い歴史を通して多くの文明に重用された大きな理由は、この遺跡の立地にあると思われます。タロス遺跡はシニス半島の先端のサン・マルコ岬にあり、遺跡の東西が海に面しているため非常に海運の便が良いのです。東西どちらから風が吹いても海に出ることができるため、特に海洋民族であるフェニキア人はこの点を重要視したようです。
海に面した斜面に建てられている町には巨大な神殿がありましたが、これもかつては入港した異邦人たちを圧倒したに違いありません。また、かつての町の歩行者道路だったと言われる商店街ではローマ時代の店舗の跡を見ることができます。引き戸の戸袋が掘られた石の隣は、店に出入りした人々によって踏みならされ、中央が丸く擦り減った敷居の石がありました。波の音に紛れて、束の間ローマの喧騒が聞こえたような錯覚に陥るほど、当時の生活の跡が随所に残る遺跡です。
遺跡ファンの皆さまには、後悔のない訪問になること請け合いです。ぜひ訪問リストに加えてくださいね。(松永華)
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