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2010年12月18日 (土)

はがきと旅行~歴史のうねりで発展した意外なもの?~

Ransarote郵便制度は、最初、今のドイツ、つまり神聖ローマ帝国と選帝侯の領内、ハプスブルク家が領有していたイタリアとスペイン、ネーデルラントから発展しました。

それ以前、つまり中世ですね。郵便制度はなく、飛脚制度がありました。

この頃、旅をする人はあまりいませんでした。
修道士、巡礼者、都市部の大学へ行く学生、芸人といった、何らかの「目的」があって動く人意外は一生を、自分の生まれた農村で過ごすのが普通でした。

しかし、まったくの交流がないわけではありません。
王様が変わったり、支配者が変わったり、遠いところのニュースは、季節の変わり目にくる芸人たちの風刺劇で知ったり、裕福な家の息子が都市部の大学の飛脚制度を使い、実家へお金や物資の催促をしたり、修道院では院長やそれに近い地位の方が亡くなると、1-2年かけていろんな修道院をめぐってお悔やみをもらったりしていたそうです。

そういうときに、ついでに伝言や手紙配達を受けたりしていたのです。

特に大学の飛脚制度が発達していたフランスでは、郵便制度の発達が少し遅れたといわれています。

何はともあれ、権力者主体の郵便制度は近代、支配に欠かせない「情報」のやり取りのために発展していきました。

この郵便制度を皇帝から「委託」され、確立、発展、独占していたのがタクシス家でした。

さて、細かいことは省きますが、道が一応整備され、郵便と一緒に人が動くようになります。
郵便はスピードが重視。

人を乗っけていても、駅舎では馬を替えて、必要な確認事項が終わればさっさと出発して目的地をめざしたのですね。
これは乗り心地のよくない馬車で何時間もガタガタ道を揺られてきた人々には大きな不満だったそうです。

今で言うなら、未舗装道路を軽トラの荷台で何時間もトイレ休憩もそこそこに行くような感じですかね…。

こうして、郵便は郵便だけ。人は人だけを運ぶ長距離馬車が誕生します。

同時に、戦争やら国家の統一やらで、世界は国際郵便の観念が生まれ、鉄道や船でもたくさんの手紙を運ぶことができるようになりました。手紙には18世紀末くらいから封筒が用いられはじめ、「守秘義務」が当たり前になってきます。

それ以前は封筒はなく、手紙を折り紙のように折っていたのです。
ちなみに私も高校くらいの頃、授業中にメモを書いて凝った形に折ってクラスメイトとやり取りしたものです…あ、まぁ…たまにですよ。基本的にきちんと授業を受けていまして…まぁ、時効ということでご容赦ください。

この頃になると、切手つまり前払いの制度が定着し、鉄道や船でバカンスへ出る人も増えました。19世紀中ごろから末にかけてです。

そして、絵葉書が誕生します。
この絵葉書の誕生で、人々は手紙を書くときに、「今、どこに居るのか」「どんなすばらしい景色なのか」などの細かな描写を手紙に入れなくてもよくなったわけです。

私も学生時代に、論文資料で手紙といいますか「書簡」を読んだことがありますが、とにかく前置きといいますか、どういう場所かということの文が長いんですね。本題にたどり着くまでに疲れてしまうくらい。

当時の人にとってはこれはとても大事な「情報」でしたし、なによりもどれだけ機知に富んでいるかが大事だったようです。

絵葉書は人々の間で大流行したそうです。
明治~昭和初期、日本にたくさんの外国人が来ていました。そのためか、当時の花魁というか芸者さんですね、彼女らの写真やポストカードが結構残っているのです。



これらは、西欧の人々にとって、とってもエキゾチックで言葉だけではとても理解できない、東洋の神秘を一目で理解できたそうで、ジャポニズムという流行が生まれ、オリエンタルなアクセサリーなどもはやったようです。

今見ても、明治期の芸者さんのセンスのよさや華族の夫人や令嬢の気品や初々しさ、かわいらしさが写真から伺えて、みていて楽しいです。
この話はまた機会があればということで。

こうして、旅行に欠かせないものにはがきがあげられるようになったのです。
ユーラシア旅行社でもオリジナルはがきを作成しています。
これも旅に欠かせないものだからなんですね(多分)。

ちなみに船の上からもはがきが出せます。
ご存知ですか?
ちなみに船オリジナルのスタンプがもらえることも多いです。

船の場合、港についてから発送するので到着に時間がかかることもありますが、すごくよい記念になるかもしれませんね。

次回は…旅行から外れちゃいますが、郵便と新聞の関係をまとめて終わりにしますね。
(写真はスペインのカナリア諸島のランサロテ島。バルに入って葉書を書こうとしていたときの一枚です)

最後に…19世紀の絵葉書にはこのような一文がついていたそうです。
「郵便当局では伝達内容に関して責任を取りません」

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