« 煌きのアドリア海、宮殿が街になったスプリット | トップページ | 南極便り »

2011年2月 1日 (火)

【共通テーマデー】旅に誘われた私の一冊~大聖堂を見に行く~

今月の共通テーマ「旅へ誘われる1冊」。

どんな本を読んだら旅に出たいと思いますか?
私が過去、友人たちを盛り上がったのは『冷静と情熱のあいだに』です。
それからT.E.ロレンスの『知恵の七柱』やヘディンの『さまよえる湖』もその地へ出かけたくなる素敵な本でした。

それから歴史ものを読むと、まるでその時代へ訪れたような気分になります。
そしてその地へ訪れると、瓦礫ですら頭の中にCGで組み立てたように、街やお城の風景が再現されます。

さて今回はあまたある本から悩みに悩んで、こちらを紹介します。
『大聖堂』原題は『大地の柱』 作者はケン・フォレット。

簡単に言うとですね、12世紀、中世のイングランドで貧乏修道院と大聖堂をいつか建てたいと夢見る石工の棟梁が大聖堂を建設する内容です。

それを軸にイングランドの内戦(王位争い)やら森の話、虐げられた伯爵令嬢と子息が生きる様、修道院の生活、石工達の建設現場のいろいろが取り巻いて、壮大な話なのです。

いろいろ賛否両論ですが、中世という雰囲気がすごくよくわかると思います。

よく中世を「暗黒時代」などという方が多いですが、いろんな意味でルネッサンスを引き起こす原因がたくさん積み上げられた時代でもあります。

そしてこの時期、建築の「ゴシック様式」が生まれたわけです。建物は重力を分散させることで、より高く細い柱で屋根を支えられるようになっていきます。アーチの組み合わせで強度を強め、大きめの窓が出現し、ステンドガラスが美しく描かれるようになりました。

森に恐れと神秘を見ていた村人達は、何十メートルもの柱がずらっと並ぶ身廊の天井部の薄暗い中に浮き出る地獄の生き物のレリーフにおののいたのでした。森が開墾され、神秘と畏怖と敬いが消えかける中、教会の聖堂がそれを受け継いでたといえる時代でした。

こうして建てられた大聖堂は、今もヨーロッパ世界各地に残ります。
一歩中へ入ると、外界と壁ひとつで切り離されただけとは思えない静寂さと威厳に満ちた教会の聖堂。…


この本を読んだあと、私は無性にヨーロッパの大聖堂を見に行きたくなりました。
神にささげるための大聖堂。
ヨーロッパ中に残る中世の人々の畏怖と憧憬と、尊敬を一心に集めてできた大聖堂。聖堂内へ一歩足を踏み入れる前に、信仰のために大聖堂を求めた修道院長フィリップや、一心に、そのため、まるで宗教者のように大聖堂を建立させていくトムとジャックと石工達が眼前に浮かびます。

この小説を読んだのははるか昔でしたが、このほど新刊も出たそうですので、読もうかなと思います。

【共通テーマデー】6つのブログでお届けする「旅に誘われた私の一冊」

〔添乗見聞録編〕
〔倶楽部ユーラシア編〕
〔ぶらり秘境探検隊編〕
〔ろまねすく通信編〕
〔船の旅便り編〕
〔パゴタの国からミンガラバー編〕

|

« 煌きのアドリア海、宮殿が街になったスプリット | トップページ | 南極便り »

つれづれ」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。