ポール・ボキューズ
一昨日ミシュラン東京版について触れたが、その事を調べていた時に興味深いインタビューを見付けた。ミシュランガイドブックフランス本部のディレクターであるベルナール・ネジャレン氏が来日した際に、ミシュランの星について語っている記事だ(2000年度の記事)。フランスのレストランでは星が一つ増えるか減るかで商売が大きく左右される。そんな中で公正な評価を与え続ける事の難しさをネジャレン氏は語っている。
その難しさを物語る例として、リヨンの「ピラミッド」というレストランが取り上げられている。自分の町がフランスの中で最も美食を誇ると自負するリヨン市民にとって、市内中心部に一つも三ツ星に認定されているレストランがない(郊外にはある)のは、ミシュランの見る目がないからとして、元々このガイドブックに反目する姿勢があった事も恐らく背景にあるのかもしれない。
さて、故フェルナン・ポワン氏がかつて切り盛りしていたこの「ピラミッド」というリヨンのレストランで修行をし、フランス料理界に確たる名声を築き上げた人物がいる。同じリヨン出身のポール・ボキューズ氏だ。「ピラミッド」で修行後、実家の店を継ぎ、1965年に初めて三つ星の評価を獲得して以来、今日まで42年間その評価を維持している。氏と同名のレストラン「ポール・ボキューズ」は、リヨンの郊外の洒落た洋館にある。冒頭のネジャレン氏のインタビューにもある通り、三ツ星を獲得するにはもちろん味だけでなく、雰囲気も重要だ。そういう意味で、このお店は期待を裏切らない。上品な内装と旬の素材を生かしたボキューズ氏の料理は筆舌に尽くしがたい贅沢な夕べを提供してくれる。フランスを代表する料理人として多忙な生活を贈るボキューズ氏だが、一度ツアーで訪れた時に挨拶に出てきてくれ、一緒に記念撮影に応じてくれた事もある。団体観光客があまり多過ぎるのも星の維持にはプラスではないが、ホスピタリティ溢れる笑顔で出てくるあたり、大物は違う。正にピラミッドの頂点と言えるお店だろう・・・。
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