ノアの方舟とアララット山(アララト山)
主はノアに言われた。『地上には不法が満ちている。見よ、私は遥かなる大洪水とともに彼らを滅ぼすだろう。』
しかし、主は敬虔なノアとその家族を憐れみ、この稀有なる大洪水を生き伸びる方法を授けた。すなわち、方舟を建造し、家族、そして地上にある全ての動物の雄と雌二匹を乗せる事を命じた。
ノアとその家族は主に言われる通りに木で船を建造した。そして周囲の人々を救うために、大洪水の到来を伝えたが一笑に付されて終わった。
はたして、七日後に大洪水が到来した。40日40夜続いた洪水は地表の悪を洗浄するかの如く、綺麗に洗い流した。何度か鳩を放して地上の様子を確認した後に、洪水が終わった事を知ったノアは船を出た。方舟が辿り着いた場所はアララト山の上であった。(旧約聖書「創世記」より一部抜粋)
この辿り着いた場所とされるアララト山は、現在のトルコにある高さ約5,100mの同名の山であるという事はほぼ間違いないとされている。しかし、方舟伝説そのもにはどの程度の信憑性があるのだろうか。
アララット山では、中世の時代から方舟を探す人がいたようである。聖杯、契約の箱、ロンギヌスの槍や聖十字架などには一歩劣るが、それでも今日まで数多くの人が聖具としての方舟をアララットで探し求めてきたようだ。特にヨーロッパで考古学ブームに火がつく19世紀後半にはシュリーマンのトロイとミケーネの発見を皮切りに、数多くの考古学者(及び財宝で一山当てようとする人)がオリエントの地を訪れた。どこにあるのかも想像が付かない他の聖具と比べて、方舟はもろにアララットという現存する地名が旧約聖書中に登場するだけに多くの人がアララットに挑んでいった。
いくつかそれらしい発見はあったようである。20世紀初頭にアララット発掘の先駆けであったロシア隊が何かを発見したようであったが、ロシア革命の際に資料が消えたらしい。以後も古代の木材が断片的に発見されたり、航空写真にそれらしき一帯が写っていたり、遂には船が地中に没したかのような不思議な地形をした一帯が発見された。この地形は、聖書の記述にある方舟の寸法にもほぼ一致していて、それらしき木材の断片も発見されているらしい。海抜約5,100mを誇るだけに、簡単に捜索現場に行ける訳ではないが、この船型の地形が発見されている場所は、さすがにバスでは行けないが、ミニバンを利用してツアーでもご案内している。神秘の山に分け入る時点からかなり気分が高揚するのだが、その場所に辿り着くと、つんと張った神々しい空気にここがその場所と信じたくなる。左上の写真では現場の生々しさを一部しか伝えられないが、クリックして拡大すると中央部の船型の地形を指し示すのでご覧になってみて欲しい。
そもそもノアの方舟や大洪水の伝説があくまで神話である可能性も否定しないが、世界各地で様々な古代の伝説に触れて感じた事は、この手の伝説の多くが一定の史実の上に空想を積み重ねて築かれた事が少なくないという事だ。火のないところに煙は立たないものである・・・。
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