2008年10月26日 (日)

冬物語

Winters_tale 今日は帰り道によく行く酒屋に立ち寄った。たまには家に帰って一杯でもしたのである。そこで陳列棚で一際青い缶が目に止まった。「冬物語」というビールだ。最近は懐と肥満事情の双方の理由から糖質の発泡酒を好んで飲んでいたが、たまには贅沢をという事で、この青い缶を手にして家路についた。「冬物語」。この名前はシェイクスピアの「冬物語(The Winter's Tale)」から来ているのだろう。

昔ロンドンのグローブ座で一度この作品を鑑賞した。寒い冬の一日であった。物語自体は特別冬の設定ではない。タイトルは妻や親友のボヘミア王ポリクセニスに心を閉ざしてしまった主人公のシチリア王レオンティーズの「心の冬」から来ていると思われる。

テキストとしては、序盤で幼くして死んでしまう王子マミリウスが「冬には悲しい物語が似合う(A sad tale's best for winter)」という物語の進行を暗示する台詞として登場する。しかし、物語は最終的にはハッピーエンドを迎える。春の喜びがもたされるのである。マミリウスの暗示は暗示でしかなかった訳ではあるが、それ故ハッピーエンドから取り残されたのかもしれない。日本でもよく上演されている名作。2009年1月にはあの蜷川幸雄氏の演出、そして唐沢敏明氏の主演で公演が行われるので、機会があれば見て損はしないと思う。

物語の舞台はシチリア(イタリア)とボヘミア(チェコ)だが、ボヘミアの場面では実際に存在しないボヘミアの海岸線が何度か登場する。この事を指してシェイクスピアを批判する地理学者もいたらしいが、シェイクスピアの作品に地理学的な整合性がない事に何の問題があろうか。地理学者の論文に文学性がない事を非難する人は誰もいないだろう・・・。

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