ケツァル(ケツァール)
ケツァルという鳥をご存知だろうか。主に熱帯雨林の地域に生息し、その色彩豊かな姿が目を引く鳥である。手塚治虫氏の「火の鳥」のモデルになったとも言われている鳥だ。姿は決して大きくなく、また現在では生息数も少なくなってしまった為になかなか肉眼では見る事のできない鳥になっている。そのケツァルを見られる可能性が高い国が中米にある。コスタリカだ。
コスタリカは中米に位置し、かつてはアステカやマヤの文明が及んでいた地域だ。その古代文明の時代からケツァルは神聖なる鳥として崇められていた。
その色彩豊かな羽毛は、王侯の衣服にふんだんに用いられ、いつしか王の象徴となった。色がないので分かり辛いが、中米各地で見られる王のステラ(石碑)には、ケツァルの羽毛を纏った王の姿が描かれている事が多い。また、アステカの宗教の中で重要な地位を占めたケツァルコトルという農耕を司る神がいる。この神の名前にも「ケツァル」が含まれ、実際にケツァルコトルの像はケツァルの羽毛の美しい色彩が施されていた。神聖なる鳥として崇められた所以もこの辺りにある。しかし、実際のところケツァルの美しい羽は自身の生命をも危険に晒した。王の命もあったであろうし、私的な目的もあったであろう。結果としてケツァルの羽を手にする目的でケツァルは乱獲の憂き目に合い、生息数が減少に転じていった。
現在でもケツァルが見られる可能性が高い場所が、コスタリカ南部のセロ・デラ・ムエルテだ。コスタリカは世界の中でも一早くエコツーリズムに取り組んだエコ先進国なので、今日に残った稀少なケツァルは人間の手に脅かされる事もなく、のびのびとこの場所で暮らしている。実際の鑑賞に関するレポートは、添乗見聞録の記事をご覧下さい。今期は昨期に引き続いてケツァル観察補償キャンペーンなるものを展開しているが、セロ・デラ・ムエルテまで行けば、それだけ見られる可能性が高いという自信の裏返しである。
生きている間に一度は見ておきたい鳥。過去や未来へと飛び立たぬ内に・・・。
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