世界最古の鉄器発見!カマン・カレホユック遺跡(トルコ)
先日世界史に大きな一歩を刻む発見がトルコので成された。その発見というのが世界最古の鉄器の発見だ。従来世界最古の鉄器はアナトリア高原(現在のトルコ)に王国を築いたヒッタイトが紀元前15世紀頃に発見したと言われていた。しかし、今回のトルコ中央部のカマン・カレホユック遺跡で発見された鉄器はそれよりかなり前の紀元前2,000年頃の物だ。この発見を主導したのが、日本の中近東文化センターだ。中近東文化センターは1979年に東京の三鷹で開館し、以来日本に中近東の歴史の奥深さを紹介するとともに実際に中近東に赴いて数多くの調査や発掘事業にも携わってきた。今回はこの偉大な発見とその背景に迫ってみたい。
カマン・カレホユックが位置するアナトリア中央部は文明のゆりかごとも言え、アッシリア、ヒッタイトなど古代ギリシャ・ローマに先立つ文明がいくつも栄えた場所であった。ヒッタイトは紀元前19世紀頃にアナトリアに侵入し、17世紀頃に王国を築いて隆盛を極めた。紀元前13世紀にはシリアに進出し、かの有名なファラオラムセス二世とカデシュで刃を交えた。このカデシュの戦いの模様は、自己顕示欲が強かったラムセス二世のおかげでエジプトのルクソールやアブ・シンベルにも残され、またこの戦いの後に結ばれた世界最古と言われる講和条約が結ばれた。この講和条約の碑文はイスタンブールの考古学博物館に実際に残されているので明確な史実だ。エジプトに残された戦いの模様を見る限りはラムセス率いるエジプト軍が勝ったような印象を受けるが、実際にはエジプト軍は遠征しても領土を獲得しておらず、敗北を喫したという見方が強い。ちなみにこのカデシュの講和条約は戦後処理のみならず、相互の友好関係の保持、国民の保護や同盟的な内容も含まれていて、現在の国連本部にもこの講和条約のレプリカのお手本として展示されているそうだ。
さて、当時飛ぶ鳥を落とす勢いであったラムセス二世を退けたヒッタイト軍を支えたのが鉄器なのだ。鉄の製造に関しては、門外不出の技術として位置づけ、ヒッタイトはその力も利用してアナトリアからシリア地方に勢力を伸ばしたのだ。そしてその結果によって現代では鉄器はヒッタイトの代名詞とも言えるぐらいだ。実際にこれまで発見された鉄器もヒッタイト時代の層から発見されたものが最古であった。ところが、2000年にカマン・カレホユック遺跡でこのヒッタイト時代より前の地層から鉄器が発見されたのだ。その時点で従来の鉄器ヒッタイト起源説を覆すに相応しい発見なのだが、現代の考古学は現場で掘るよりも研究所で分析する方が大変なのだ。それから9年近い研究を重ねて、今年その鉄器がヒッタイトより前の時代の物である事が裏付けられた。
尚、中近東文化センターではこの鉄器に先駆けて、通常アナトリア史の「暗黒時代」と呼ばれたヒッタイト滅亡後の時代にこれまでの一般的な見解を覆す高度な都市文明の遺跡跡も発見している。そしてこのカマン・カレホユックにおいては、ただ発掘するだけでなく、遺跡に隣接した複合的な教育機関アナトリア考古学研究所を立ち上げ、地元民との共生、発掘業績の共有や考古学者の育成を目指している。
この度、中近東文化センターの協力を得て、このカマン・カレホユック遺跡を特別に訪れるツアーを設定した(近日公開予定)。このツアーでは、紀元前に栄えたアナトリア西部のペルガモンと合わせて観光する内容となっている。これは現在中近東文化センターで開催中の「ペルガモンとシルクロード」展に合わせた内容なので、是非三鷹の本館にも足を運んでみて下さい。4月29日(水・祝)には、本館で中近東文化センターの吉田大輔氏をお招きして「ヘレニズムの華、ペルガモンを極める」と題した講演会も催すので奮ってご参加下さい!
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