2009年5月20日 (水)

サンタンジェロ城(ローマ)

St_angelo 数多いローマの皇帝の中でも個人的に崇拝している皇帝がいる。第14番目のハドリアヌス帝である。ハドリアヌスは五賢帝にも数えられ、五賢帝の中ではネルヴァ、トラヤヌスに次ぐ三番目である。彼を敬愛する理由はいくつかある。まず旅人であった事。北は現在の英国からライン・ドナウに沿って黒海、シリアやパレスチナを経てエジプト、ギリシアや北アフリカのチュニジア、そしてイベリア半島のスペインまでを巡遊した古代の旅人なのだ。ローマの最大版図を築いたトラヤヌスの跡を継いだハドリアヌスは、大きな戦争は戦ってなく、領土も拡張してなく、生きている間はそれ程認められなかったが、いつの時代も華々しく何かを始める事より、地味ながらもそれを続ける事の方が困難な場合が多い。そういう意味でトラヤヌスが築いた巨大な版図の安定化を図ったハドリアヌスの功績にも惹かれるのだ。

そんなハドリアヌスがローマに残した建築物が二軒ある。ハドリアヌスの名が冠せられてないので分かり辛いが、いずれもローマを代表する観光地。一つはパンテオン、そしてもう一つがサンタンジェロ城である。

パンテオンは現代に残る古代ローマ建築の最高峰であり、ミケランジェロを「天使の設計だ。」と唸らせたその巨大なドームの構想はハドリアヌスが生み出した物であった。一方サンタンジェロ城は、建築その物にはそれ程触れられないが、その歴史は深い。

St_angelo_vatican 元々サンタンジェロ城は、ハドリアヌスの廟として建てられた。ハドリアヌスの後にも何人かの皇帝がここに葬られた。残念ながらその後の時代の盗掘で廟であった時代の痕跡はなくなってしまった。中世に入るとこの廟は城塞化され、1527年ゲルマン人のローマ略奪の際には教皇がここに立てこもった事でも知られる。「天使と悪魔」でも登場するヴァチカンからサンタンジェロ城への秘密の通路は実在し、昔からローマのミステリーの一つとして知られている。(一般入場は出来ない)

St_angelo_statue ちなみにこの城の名前の由来は、6世紀に教皇がペスト撲滅を象徴して頂上部に置いた天使ミカエル像に由来する。ちなみにサンタンジェロ城に向かってテヴェレ川に架かるサンタンジェロ橋にも多くの天使の像がある。こちらはベルニーニの作だ。ミステリーファンは興味をくすぐられるだろう。

内部は楕円形になっていてそれ程多くのみどころがある訳ではないが、色々な事を考えながら歩いてみるとたまらない。この城の頂上は、プッチーニの「トスカ」のクライマックスでも舞台ともなっている。左上の写真はその屋上からヴァチカン側を見渡した風景だ。奥に見える大ドームのサンピエトロ寺院があるヴァチカンとこのお城が地下のどこかで繋がっているのだ。ローマの都市伝説と言ったところだろうか。

St_angelo_top映画と言えば、サンタンジェロ城の前、サンタンジェロ橋の下辺りのテヴェレ川で「ローマの休日」の船上パーティのシーンも撮影された。オードリー・ヘップバーンがグレゴリー・ペックと一緒に川に飛び込んだ場所なのだ。

これ以外にもサンタンジェロ城にまつわる話は事欠かないが、これぐらいで。スペイン階段やトレヴィの泉よりははるかに楽しめる観光地なので、一回は必ず訪れてみて下さい。もちろん場内に秘密結社のアジトなんてないので、安心してご入場下さい・・・。

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