2009年11月20日 (金)

ナポリ旧市街の宝物ピオ・モンテ・デラ・ミゼルコルディア聖堂

Pizza_margherita まず今回の旅程から紹介しよう。成田から出発して、ナポリ近郊のカステルマーレというところで2泊、ローマで4泊の8日間。イタリアの視察はとかく日程が忙しく、行く先々でのカクテルパーティや市長その他お偉方のスピーチが長く、夜のホテルの戻りも午前様、連泊もほとんどない事がしばしばだが、今回はスピーチはほとんどなく、滞在型の行程でいつもより遥かにゆとりある日程であった。30を越えるとこれが大切である。

さて、4年ぶりにやってきたナポリ。私の頭の中はもちろん今回の目的であるカラヴァッジョよりもピッツァ・マルゲリータで一杯であった事は言うまでもない。翌日の昼市内中心部で早速評判のピッツェリアに寄った。うまい!でも今日の目的はカラヴァッジョ・・・。

Napoli ナポリと言えば、2年前ぐらいにゴミ騒動が日本でも報じられたが、当局や中央政府による懸命の努力でだいぶ状況が改善されたようだ。観光客が訪れる場所を最優先で片付けた事は聞いていたが、今回車窓で通り過ぎる路地もほとんどゴミがなかったので観光客が訪れるところ以外も片付いてきたのだろう。ナポリ市民曰くノープロブレムだそうだ。

Pie_monte_della_misercordia そんな思いを巡らしながら、市内中心部にあるピオ・モンテ・デラ・ミゼルコルディア聖堂へ。この由緒ある聖堂にローマで殺人を犯し、ナポリに流れ着いたカラヴァッジョの傑作「慈悲の七行」がある。以前にもこの聖堂の前まで来た事があるが、あいにく閉まっていて入れなかったので今回は特に楽しみにしていた。

Seven_mercies聖堂内に入ると、まず八角形の特異な建築プランと白亜の美しい壁に意識を奪われた。建築そのものには何の期待も抱いていなかったのだが、なかなか面白い。そして目的の物は中央の祭壇奥にかかっていた。「慈悲の七行」だ。

ナポリに流れ着いたカラヴァッジョは新天地でこの作品を描いた。七行はこの絵を発注した慈善団体の七人の理事の為に描かれた。七行とは、衣服、食べ物、飲み物の付与で三行、残りの四行が病気の治療、死者の埋葬、囚人訪問、巡礼者の歓待である。一つの画面の中でこの七行全てを表現しながらも、それぞれに相関関係ももたらせたこの作品はナポリで大きな反響を呼び、まもなくしてカラヴァッジョを信奉するカラヴァッジョ派の画家がこの町で多く誕生した。

ちなみにこの絵を発注したナポリの慈善団体は今日でも活動中。教会を管理しているのも司教とこの団体だ。今回は何とその理事の一人が挨拶に来てくれた。当時殺人犯にこのような主題の作品を描かせる事には異論もあったようだが、あえてカラヴァッジョに発注した先人たちの先見の明に感服しているとの事だった。さもあろう。この聖堂の八角形の建築プランもカラヴァッジョの作品をより引き立たせる為に元の聖堂を改築して生まれたと言う。

ピッツァ・マルゲリータが何であろう、ナポリの旧市街には遥かに味わい深い宝物が静かに佇んでいる・・・。

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