黄金郷エル・ドラード伝説(コロンビア)
伝説の黄金郷エル・ドラード。この言葉には、トロイ、ミケーネやシャングリラと同じ甘美な響きがある。ひょっとしたら、黄金の国ジパングと同程度のヨーロッパ人達の誤った解釈であったのかもしれない。それでもなお惹かれる。
大航海時代、大西洋を渡って南米に辿り着いたヨーロッパ人達は、数多くの未知なる文化に遭遇した。その中でもとりわけ珍しい儀式を行っていたのが現在のコロンビア南部一体に住むムイジカ人達であった。金の装飾品を多く持ち、実際に首長が金粉を体に塗る儀式も行っていたムイジカ人達の文化は、ヨーロッパ人達にとって正にエルドラード(=黄金の人)であったのだ。
伝説は歴史の一部でもある。ボゴタにある黄金博物館がそれを証明している・・・。
ボゴタの博物館には、ムイジカ人(及びにその周辺の民族の文化)達の時代の展示品が並んでいる。そのほとんどが黄金製品であり、その点数は5万点にも及ぶと言う。博物館の名前もそこに由来している。黄金という修飾語は正にこの博物館にふさわしい。南米にあっては比較的モダンな博物館で、一階に洒落たカフェや本屋もあり、展示品は2~3階にきれいに並べられている。
ボゴタの黄金博物館の展示品の多くが仮面や首長、祭司階級の装飾品である。その中でも最大の目玉が、右の写真の作品だ。船の上に人の姿が描かれいる。細部まで見ると非常に精巧に出来ている事が分かる。
実はこの船こそが中世のヨーロッパに黄金郷伝説を生んだエル・ドラードの起源を指し示していると言われている。この船はかつてムイジカ人達の領域でコロンビア南部のパスカという町で発見された。船の上にいる人々は、ムイジカ人達の金粉を塗る儀式を再現していると言われている。
その他にも様々な黄金製品がある。プリミティブ・アートに近い物を感じさせるデザインは、なんだかかわいらしい印象も受ける。展示品は非常に数が多いので一つ一つ見るのはなかなか大変だが、よく見てみると結構な個性があって面白い。
近代に入って謎に包まれた部分も多かった南米大陸が踏破されると、ヨーロッパ人達が憧憬を抱いたエル・ドラードという黄金郷は伝説となった。しかし、その残照以上の物が今日まで息づいている。伝説は歴史の一部でもある・・・。
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