2010年1月 5日 (火)

ブータンの仏像制作現場(美術学校)

Bhutan_art 昨年は東京国立博物館で話題を呼んだ「国宝 阿修羅展」を筆頭に今まで大々的に注目を浴びる事が多くなかった仏像というものがブームを呼んだ。個人的には勉強不足で仏像について何か書く事は出来ないが、仏像に限らず、普段から身近にあってその重要性を見失いがちな物の価値を再認識する事はいい事だ。それがどんな形であれ・・・。さて、そんな仏像ブームも手伝ってか、最近は仏像の流通量も増えているらしい。国産に交じって工場で量産された外国製品も数多く流通しているそうだ。

一概に工場生産がダメとは言えないが、やはり手の温もりは大切にしたい。今日はそんな手の温もりが感じられる仏像の制作現場が見られる場所を紹介したい。ブータンの美術学校だ。

現代的な物質主義に囚われない国民総幸福量という概念を打ち出した前王から少し時代が変わりつつあるかもしれないという事を一昨年の「変わりゆくブータン?」という記事で触れた。実際に最近行ってきた者の話を聞くと、実際に少し変わりつつある部分はあるかもしれないが、幸いに良い部分は国民の中にしっかり根付いているようだ。

Bhutan_art4 敬虔なチベット仏教徒が人口の大部分を占めるブータンでは、仏教美術、ひいては仏像の制作は非常に重要な仕事である。美術学校も整備されており、多くの生徒が学んで腕を磨き、ハンドメイドの温もりがある仏像を世に生み出していく。ユーラシアの一部のツアーでは、許可をもらって首都のティンプーにある美術学校を見学している。少年達がデッサンや塑像に挑んでいる姿を実際に目にする事が出来る。なかなか写真では伝え辛いが、実際にその場に立ってみると、少年達の熱気が直に伝わって来る。若いにも関わらず、素人目には技術のレベルもかなり高そうである。

Bhutan_art2 卒業後に彼らは職人として腕をふるう事になる。ブータンで制作される仏像は、もちろん輸出向けの商品として作られていないので、基本的には国内で利用されている。工場の量産品とは価値も異なるように思われるが、商業主義を疎んじる国故、輸出する事はそれ程ないようだ。実際この国にはお土産物屋なるものもほとんどない。観光客の数は増加傾向にあるが、だからと言って安直なツーリズムに傾倒する事もなく、昔ながらの生活の延長上で対応している。

こういう制作現場に触れてみれば、仏像を見る目もまた変わるだろう。別にブータンまで行かなくてもその機会はあると思うが、現場と聞いて大工場に案内されたのでは味気ない・・・。

ブータンのツアーはこちら

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