2010年11月18日 (木)

渋谷のライオン

Lion1 やや体調が快方に向かいつつあり、何とかブログはお休みせずに乗り切れそうでホッとしている。ブログの継続に大切なのは「ネタの数よりも根気と気力」と普段吹いて回っているが、それだけに私が容易に休んでは行けない。とは言いつつ、今日は何か浮かんでくる訳でもないので、過日紹介した横浜中華街にある謎のお店「安楽園」に引続き、今日は渋谷の道玄坂にある謎のお店「ライオン」を紹介しよう。

この「ライオン」というお店は、知的好奇心豊かな方ならきっと行かずにはいられないお店だ。場所は飲食店、風俗店、ホテル街など雑多なネオンが立ち並ぶ道玄坂の中枢に位置している。

Lion2 小学生の頃(昭和末期)中目黒に住んでいた時に私は自転車でよくこの界隈を走り抜けた。当時としては最新のタッチパネルのクイズがある電力館にみんなで遊びに行くのが目的だったが、何せ好奇心旺盛な小学生男子。こういう道玄坂の大人の世界も覗きたい年頃でライオンの前も良く走って行った。当時はまだ古い建物も少なくなかったので、そう気に留めていなかったが、大人になって「ライオン」を見た時にある種の衝撃を受けずにはいられない。それは安楽園と一緒で、「一体ここは何の店なのか」と誰もが感じるような門構えなのだ。看板も「創業1926年 Lion」としか書かれていない。カーテンは全て閉ざされており、曇りガラスの入口ドアから店内を覗いても何も見えない。建物から漏れてくる明かりがない。

しかし、勇気を持って中に入ると、外とは別世界のノスタルジックな空間が広がっている。ここは昔懐かしの「名曲喫茶」なのだ。お店は昭和元年(1926年)に開業した渋谷でも最も古い店の一つで、東京大空襲で初代の建物が焼けてしまったものの、オーナーの熱意で初代の建物と同じ姿で今の建物を再建した。だから昭和初期の味が染みている。

店内には1階正面に巨大なスピーカーがあり、そこから由緒ある音源から取っていそうなクラシックが流れている。椅子の座り心地はよく、飲み物も600円前後でカバーチャージなどもない。内装もかなりアンティークで渋い。店員はあまり愛想はなく怖いぐらいだが、それは恐らく店の方針だと思われる。「いらっしゃいませ」と微笑みかけられても、この店の雰囲気には馴染まないだろう。

店内には読書をする人、寝ている人、楽譜を見ながらタクトを振っている人まで色々いて、きっと常連さんなのだろう。クラシックは毎日の演目がホームページ上で紹介されているが、希望者はリクエストも出来る。一見さんで申し訳ないと思いつつも、この空間で大好きな「ヴィンチェロ~」を聞いてみたいという思いを抑えきれず、プッチーニのトゥーランドットをリクエストしてしまった。素晴らしい!

現代にあってもこういう店を守りきってきたのはひとえにオーナーやスタッフの熱意、そして通い続けてきた常連客の思いだと思われる。勇気を出せば一見さんお断りでない事は分かるが、「私語禁止」「店内撮影禁止」などいくつかルールもあるので行こうと思う方はホームページで事前調査の上、配慮を忘れずに。

では、知的好奇心豊かなユーラシアのお客様の為に、また日常の中で興味深い場所を見つけたら報告しましょ・・・。

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