イラン伝統スポーツ「ズールハーネ」東京公演
昨日は、イラン・イスラム共和国大使館が主催するズールハーネの東京公演のライブ配信の為に夕方から文京シビックホールに出かけた。外部イベントを中継するのは今回が初めてであったので下見はしていたものの、少し早めに会場入りする事にした。
ところが会場入りして下見で目星を付けていた場所に目を向けると、なんと本格的なテレビカメラが立っている!まさかライバルがいるとは。しかしよくよく聞いてみると映像製作会社の方で公演のビデオを作る為に来ているらしい。場所は隣でも問題なかったので、むしろいい機会だと思って彼らの話を聞いたり、機材を見たりした。この1年で映像について独学でそれなりに学んだが、初めてプロの方にお話を聞く事ができ、いい勉強になった。
さて、前置きは長くなったが主題の「ズールハーネ」へ。
「ズールハーネ」は先日の記事でも紹介した通りだ。定刻の7時には会場が既に満員で、少し遅れて観賞に来た同僚達の多くが立ち見になったぐらいだ。正直なところ日本では馴染みが薄いズールハーネにどれぐらいの人が観に来るのだろうかと思っていたが、蓋を開けてみれば大盛況であった。
大使やズールハーネ協会会長らの挨拶を経て、いよいよ開演。最初の演目は演奏系であった。時折歌も交えながらリズミカルな太鼓の音が響き渡る。演奏が終わると大拍手で会場のボルテージは高まっていく。その次には体操系のズールハーネ。実際にイラン現地のズールハーネではこちらが主流だ。今回の公演は国立ズールハーネチームと音楽団の来日という事で、パフォーマンスのレベルもかなり高い。40kgもある棍棒を空中に振り上げて回したのを始め、体操のような動き、格闘技のような動きなどで観客を魅了する。手を左右に広げて人間がこまのように高速でぐるぐる回るところでは、短時間で恐らく50回以上回ったにも関わらずピタッと止まってバランスを崩さないという驚異的な平衡感覚に会場のボルテージも最高潮に達した。そして終了。
ダイナミックに動きに目を奪われがちなものの、ズールハーネは肉体だけではなく、精神の鍛錬という意味合いも強い。現代で言えばスポーツマン精神にも通じるところがあるのだろう。時にはコーラン(イスラム教の祈り)に合わせて運動したり、時には雑念を消すために一心に取組んでみたりしながら、選手は肉体と精神を同時に鍛えて行く。そしてズールハーネには「弱者を守る為に肉体を鍛える」という側面もある。
残念ながらイランでもズールハーネに集う若者が減少傾向にあるそうだ。その中で選手達は古き良きペルシャの伝統を引き継ぐために国内外でパフォーマンスを続ける。その努力の甲斐あってか、ズールハーネはユネスコの世界無形遺産に指定された。拍手の雨に迎えられた選手達の顔は誇りに満ちていた・・・。
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