2011年6月22日 (水)

ドゥーン・エンガス(アイルランド/イニシュモア島)

Dun_aengus1 先日カラヴァッジョの「キリストの捕縛」に関するテレビ放映の影響でこのブログへの検索も増えているが、その「キリストの捕縛」があるのがアイルランドの首都ダブリンのナショナル・ギャラリーにある。(「キリストの捕縛」に関する過去記事

アイルランドと言えば特にイタリア人のようにヨーロッパ南部に住む人にとってはヨーロッパの端という印象だろうが、今日はそのアイルランドでも端にあるアラン諸島の奇景を紹介したい。表題のドゥーン・エンガス(ダン・エンガス)である。

Dun_aengus2 アラン諸島最大のイニシュモア島南岸に位置するドゥーン・エンガスは、奇景であるとともに、史跡でもある。というのも、この地には謎に包まれた古代の城塞跡が残されているからだ。この城塞がいつどのような目的で建造されたのかは現在でも正確な事は分かっていない。冒頭の写真に出ている約100mの断崖に面しているので守りやすかったかもしれないが、文字通り背水の陣である。イニシュモア島には他にもいくつかのドゥーンがあるが、エンガスが最も見応えがある。

Dun_aengus3 イニシュモア島の大地のほとんどが石灰岩で構成されており、古来より農耕地に乏しかった。農耕を営むには土を敷いて根が深くない農作物を栽培するしかなかったのだが、風が強い為に土を敷いてもすぐ飛ばされる。そこで人々は防風を兼ねた石垣を畑の周りに張り巡らし、土が飛ばされるのを防ぐようにした。この石垣は今日でも色々な所で見られる。ドゥーン・エンガスを囲む石垣もこのような農業用石垣に似ているが、元々城塞を囲む4重の城壁の跡だ。当時の門(左上写真)とおぼしき場所も復元されている。

Dun_aengus4 最低でも二千年以上も前に建造されたと言われているドゥーン・エンガスの淵には前述の断崖が広がっており、広く海岸線を見渡す事が出来る。また、アイルランド本土とは反対の大西洋側に面しているので、軍事的施設よりも宗教的な施設であったという説も有力だ。実際にその場に立ってみると、その絶景と下方の荒々しい海を前に畏れの気持ちを抱かずにいられない。同時に厳しい気候と大地を噛み締める事が出来るこの場所は個人的に抱くアイルランドのイメージとも重なる。

Dun_aengus5 ちなみにドゥーン・エンガスの断崖には柵がない。右の写真のような事をやっている人が少なからずいるようだが、あまりマネしないで欲しい。下を見れば、古の韓信でもさすがに背水の陣を敷く気にはならないであろう血の気が引く眺めが広がっている・・・。

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