アルフォンス・ミュシャとチェコ
先週末より六本木の森アーツセンターギャラリーで開催されている
ミュシャ展~パリの夢モラヴィアの祈り~に行ってきました。
(ミュシャ展オフィシャルサイトはこちら)
アールヌーボーの旗手としてパリを中心に活躍し、
日本でも幅広い世代から人気を集めているミュシャの展覧会ということで
会場はなかなかの賑わい。
六本木ということもあり、外国の方の姿が多かったのも印象的でした。
ミュシャは1860年に、現在のチェコ共和国にある、
当時はハプスブルグ帝国領内にあったモラヴィアに生まれました。
ハプスブルグが崩壊し、
第1次世界大戦を経てチェコ・スロヴァキアとして独立した祖国に歓喜し、
第二次大戦の足音が迫る1939年7月にその生涯を閉じました。
ミュシャ(ムハ)の絵というと、
比較的若い頃の作品パリで爆発的に流行した
リトグラフ(版画)で造られた女性と植物、曲線の装飾のポスターが有名で
彼の絵が好き、という方の多くが、このような若い頃の作品を好んでいるのだと思います。
実際、今回の展覧会も、
前半の部分は見学者の列がなかなか進まなかったのですが、
後半になると急に人がまばらになっていました。
彼は1900年のパリ万博で強くスラヴ人としての自分を意識し、
商業的でない作品作りに人生の後半を注ぎました。
その結果、どこか“暗い”と思われる作品が増えてくるのですが、
スラヴ人としてチェコで培った感性こそ、
彼の人生の華やかな部分にエキゾチックな発想を与え成功に繋がったともいえます。彼の晩年の傑作「スラヴ叙事詩」は、
今回映像のみの出展でしたが、
ミュシャの愛国心を強く揺さぶったという
スメタナの「わが祖国」を聞きながら作品を見ていると、
ミュシャが願ったスラヴの平和、人類への夢が伝わってくるようでした。
ロシアでも、チェコでもブルガリアでも、これまで中欧や東欧を訪れ
彼らの歴史を知った方ならきっと共感できると思います。
ミュシャの故郷チェコツアーの魅力はこちら
スメタナの「わが祖国」で始まる、プラハの春音楽祭の魅力はこちら
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