2016年5月19日 (木)

映画『マクベス』の舞台スコットランド

マクベスのロケが行われたスカイ島

 “マクベス”―『ハムレット』『オセロー』『リア王』と並ぶ、イギリスの劇作家ウィリアム・シェイクスピアによる四大悲劇の一つが、今、日本で大きな話題を呼んでいます。
1616年にシェイクスピアが亡くなってから今年で400年。その記念の年を祝して撮影された、ジャスティン・カーゼル監督による映画『マクベス』が先日5月13日に公開初日を迎えました。公開されてからまだ日にちは浅いものの、各界から絶賛を受け、大ヒット上映中です。既に見たという方もいらっしゃるかもしれませんね。また、6月26日からは東京グローブ座にて舞台『マクベス』が公演されるということで、こちらも見逃せません。
人間の心理描写に長けていたというシェイクスピアが生み出した、一大人間ドラマ『マクベス』。今年は、シェイクスピア、マクベス、そしてマクベスの舞台となったイギリス・スコットランドを知る絶好の機会です。
 
 『マクベス』は1606年、シェイクスピアが42歳の時に作った作品です。勇猛果敢な将軍マクベスが3人の魔女たちに出会って「王になる」と予言を受けたところから始まり、夫が王になることに野心を示すマクベス夫人に唆された彼は、スコットランド国王を殺害して予言通り王の座をつかみます。しかし物語はその後急展開へ。国王に続き友人を殺したマクベスはその亡霊に悩まされるようになり、また一方でマクベス夫人も、つきまとう罪悪感に悩まされて錯乱状態に陥り、遂には自ら命を絶ってしまうのです。ここでマクベスが放った「人生はただ、うろつき回る影法師、哀れな役者。」という台詞は、かつて王になった頃の栄光を振り返っての虚しさが表れているようで、物語の中でも印象的な場面となっています。
スコットランド国王が家臣のマクベスによって殺害されるという話は、中世スコットランドで実際にあった出来事。シェイクスピアはこの出来事をもとに『マクベス』を作り上げました。シェイクスピアは劇作家としての一面だけでなく、歴史家としての一面もあったのです。
 映画『マクベス』において、マクベスを演じる主演のマイケル・ファスベンダー、そしてマクベス夫人を演じるマリオン・コティアールの演技もさることながら、物語の舞台であり、映画撮影の舞台ともなったスコットランドの荒涼たる風景が、その壮大な世界観を盛り上げる要因の一つだと言われています。 

コーダー城

 イギリス北部に位置するスコットランドは、手つかずの自然が残る美しい地域。時折感じる、どこか物悲しい雰囲気が、マクベスの世界にぴったりと合っています。また、かつて、イギリス南部に位置するイングランドとの争いの舞台になった古城や廃城がいくつもあることもスコットランドの特徴の一つ。それらを訪ね歩くことで、スコットランドの醸し出す雰囲気と歴史を目の当たりにすることができます。 
 そんなスコットランドに、マクベスに関連する古城があることをご存知でしょうか。それが“コーダー城”です。言い伝えではこの城が、マクベスがスコットランド国王を殺害して王の座を得た、血塗られた舞台とされています。
 実際のコーダー城は広大な森林と庭園、そして色とりどりの花々に囲まれており、“スコットランド一優美な城”と言われています。それは、時代は違えど、『マクベス』の冒頭で「いい場所にあるな、この城は。吹く風もさわやかに心地よく、われらの五感を穏やかに和ませてくれる」という一文で称賛されている程。物語後半の暗闇に閉ざされた世界とは異なり、穏やかな時間が流れる、中世の雰囲気漂う古城です。
 
 実はこの城は、シェイクスピアが参考にしたという、歴史上のマクベスが生きた時代よりも後に建てられたものであることが判明しており、正確に言うと、マクベスとの直接の関わりはありません。しかしコーダー城は現在でも“マクベスの城”として親しみを持たれており、観光客やシェイクスピアのファンが訪れる場所となっています。
 
 これから観光シーズンを迎えるスコットランド。映画効果もあって、世界中から多くの人々が訪れるに違いありません。(越野)

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