日タイ修好130年記念「タイ~仏の国の輝き~」
小暑を過ぎ、いよいよ夏本番といったところ。屋外で過ごすのは少々つらい時期となって参りましたが、屋内で楽しめる展覧会へのお出かけはいかがでしょうか?
2017年7月4日(火)~8月27日(日)、東京国立博物館にて、特別展「タイ ~仏の国の輝き~」が行われています。国民の約95%を仏教徒が占める仏教大国・タイから、仏教伝来以降、スコータイ王朝、アユタヤ王朝はもちろん近代にいたるまでの仏教美術の数々が来日!
注目は「ナーガ上の仏陀坐像」。ナーガとは、コブラのような姿で描かれるヒンドゥー教由来の龍神です。龍は水と関わりが深いため、アジアに限らず農耕社会や水辺ではよく意匠にされますが、当作品のようにとぐろを巻いて仏陀の台座となる姿は仏話に基づいています。
仏陀が菩提樹の元で悟りを得た際、解脱の喜びをかみしめ瞑想を続けていたところ、7日間に渡る大嵐に襲われてしまいました。その時、樹下に住むナーガの王・ムチャリンダは、7重にまいたとぐろで仏陀を包み込み、また扇状の鎌首で雨を防ぎ、仏陀を守り抜いたのです。
正面から見た仏陀のお姿が素敵なことは言うまでもありませんが、せっかくですので横からもじっくりご覧ください。仏陀を包み込むナーガの、大きく広がる首元からとぐろを巻いた尾へとつながる曲線もまた美しく、細部まで作りこまれていることが感じられるでしょう。
その他の作品も逸品ぞろい。古くより民俗や文明の行き交っていたタイの美術様式は多種に渡り、その変遷からタイの歴史を垣間見ることもできますよ!
最後に少しだけ、タイの仏像にご興味頂けた方へ、どうしてもタイ現地でしか見られない趣深い仏像をご紹介。
▲アユタヤ遺跡の寺院の一つ「ワット・プラ・マハタート」は、ビルマ軍侵攻の際に破壊されてしまった地。長い年月をかけて木の根に取り込まれた仏の頭にお目にかかれます。
▲バンコクにある寺院「ワット・ポー」には全長約46メートルの巨大な涅槃仏が横たわっています。足の小指だけでも人の頭より大きく、全体像を1枚の写真に収めるのはなかなか難しい!大きいだけでなく、足の裏に描かれた螺鈿細工108の絵など、細部まで見ごたえがあります。入滅前の最後の説法をするそのお顔は、穏やかながらも凛としています。
仏像と言っても、姿かたちから描かれたシーンまで様々。それぞれ歴史背景や作り手のことを想像しながら見ると、見飽きることがありません。
日本の仏像も良いですが、たまには違う文化に触れてみるのも面白いですね。
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