ギリシアの聖週間
キリスト教徒にとって最大のお祭りは、クリスマスではなくて聖週間。ヨーロッパに何度かいらしたことのある方なら、どこかでお聞きになった事があるかもしれません。聖週間が重要視されるのは、キリスト教徒にとってはキリストの神性を示す「復活」の方が、「生誕」よりも大きな意味を持つからなのだそうです。
さて、ギリシアは地理的には海を挟んで小アジアに面し、キリスト教勃興の時代にはギリシア語は地中海から小アジアにかけて、教養を持つ者の共通語としての地位を確立していました。このため、最初の聖書はギリシア語で記されたといわれ、また、現在のギリシアのあちこちに、初期キリスト教の布教の歴史の一端を見出す事が出来るのです。(例えば、コリントスのローマ遺跡にはパウロが説教したという演台の跡が残っています。)
ギリシアという国は、古代ギリシア哲学や神話が注目されがちなのですが、このようにキリスト教とのつながりも深く、現在でも国民の多くが敬虔なギリシア正教徒だといわれています。
このことは、ギリシア屈指のリゾート地、サントリーニ島でも感じる事が出来ます。
写真は、春先のサントリーニ島、イアの写真です。
ギリシア正教は、カトリックや他の正教の国とカレンダーの仕組みが若干異なりますため、復活祭の時期が年によっては最大2週間ほどカトリックのカレンダーとずれます。2009年のギリシアの復活祭は4月の19日ですが、復活祭が近付くにつれ、ギリシア人にとってもクリスマスより大切なこの日に向けて町のあちこちに人々の意気込みを感じられるようになってきます。
たとえば、復活祭に向けて町を掃除し、花を植え、家や生垣を修理したり塗装を塗りなおし、真っ赤な卵やウサギの人形を飾りつける様子は、どこかお正月を前に大掃除をする私達の慣習と重なって見えます。とにかく、復活祭を境に町も人々もパッと明るくなったような印象を受けます。(敬虔なキリスト教徒ですとカーニバルから復活祭までは肉食を断ちますから、もしかしたら食べ物のせいなのかもしれないのですけれど。)
地中海性の強い日差しのせいで、鮮やかな青い塗装が痛みやすいエーゲ海の島々では、復活祭の頃にペンキの塗り直しが行われているようで、6月頃にあらためてイアを訪れると、春にはちょっとはがれていた屋根が綺麗に塗りなおされていました。
(でも時には復活祭に間に合わないお宅もあるようです。そこが、おおらかなギリシアらしいところですね。)
さあ、復活祭が過ぎると本格的にギリシアのベストシーズンの幕が開けます。海は輝きを一層増し、ぴかぴかの白亜の家並みが青空に良く映える季節がやってきます!(山岸)
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