ロカマドゥール(フランス)
ロカマドゥールは、断崖絶壁にそって広がっています。崖の上方には陸からくる敵を排除するための要塞としても機能する領主の城、中腹には聖人とこの地方特有の黒い聖母を祀る教会などの宗教施設、そして谷底に近い部分には一般の商店や住居があります。敵の襲来時に教会を守るため、また遠路やってきた巡礼たちを迎えるためです。中世フランスは群雄割拠の時代であったということと、この時代、聖人の生前の所有物や遺骸など聖遺物崇拝が流行し、これに伴い他の教会が所有する聖遺物を盗んでわがものとする「聖なる盗み」が横行していました。ロカマドゥールの聖アマドゥールの遺体や黒い聖母像など、人気のある聖遺物は特に注意が必要だったのです。
残念ながらかつての宗教戦争、そして近年の岩盤崩落などでロカマドゥールは衰退し、巡礼者の数も往時に比べるとぐっとその数を減らしてしまいましたが、中世より街を守った市壁の門や石畳は今も残り、中世の家屋と相まってとても素朴でかわいらしい街を演出しています。端から端までわずか数百メートルのロカマドゥール旧市街を、古めかしい建物をのぞきながら歩きましょう。どの建物も、今はホテルのほかお土産や新鋭の芸術家の作品発表の場となっています。
ロカマドゥール近郊はクルミ、フォアグラ、トリュフの産地として有名で、こういった産物を扱うお店も多いです。ツアーでもフォアグラをお試し頂きます。また、農耕が盛んな地域ですので、チーズなどの酪農品もおいしいですよ。小さい街ですが、歩き疲れたらカフェでのひとやすみはいかがでしょうか。ゼラニウムなどで飾られたかわいらしい街並みを眺めながら、クルミケーキにエスプレッソなどがお勧めです。
近くに大きな街も少なく空気がきれいなロカマドゥール。時間が許せば朝夕、夜の街の散策も気持ちがいいものです。ただし、このあたりは標高が高く朝夕は気温が下がりますので、季節を問わず暖かいお洋服をお忘れなくご用意ください。冒頭の写真で紹介した5~6月の新緑の季節もいいですし、秋もまた風情があります。(山岸)
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