~スーツで歩いた巡礼路2~ お気楽な巡礼の旅へ出発
さて、聖地サンチャゴを西へ西へと目指す巡礼者は果たしてどのような旅をしているのだろうか。
大きなバックパックを背負った彼らの朝は早い。
日の出前に起き出してもう暗いうちから歩き始める。
午前中の涼しい時間帯に5~6時間ほど歩いてお昼には巡礼宿に入り、昼食後は今後の旅に備えてしっかりシエスタをとる。
だいたい一日25~30キロを歩く計算だ。
我々の旅が始まったのは、巡礼路途中のパンプローナ。
聖地サンチャゴまではまだ約700キロ近くあるので、ずっと歩いていくと少なくとも一ヶ月はかかるだろう。
しかし我々は日数が限られているパックツアー。
基本的にはバスで町々を観光をしながら、時折景色のいい場所を選んで、旧巡礼街道を1時間半~2時間ほど歩くイイトコ取りの旅なのだ。
ここは牛追い祭りで知られるパンプローナの郊外、畑の真ん中に佇む小さなエウナテ教会。
ここからプエンテ・ラ・レイナという町まで約6キロの道のりを歩くのだ。
お客様は皆、リュックに帽子、運動靴と気合十分、準備は万全。
一方、添乗員の私は上下スーツに革靴、よれよれのビニール袋。
ハイキングとは程遠い服装・・・。
実は私のスーツケースだけが現地に到着せず、成田空港出発時からずっと同じスーツ姿。
そんな訳で私の「スーツで歩く巡礼路」の旅が始まったのです。
空を見上げると、明るい日差しが眩しい。
北スペインの初夏はカラッとした陽気と青空が印象的だ。
今日は絶好のハイキング日和。
時間にもゆとりがあったので予定には無かったハイキングを決行。
雰囲気が良さそうな田園地帯を選んだ。
歩き始めるとすぐにじんわりと汗がにじみ出てきて、息が切れる。
日頃の運動不足を痛感。ちょうど膝の高さまで伸びて、青々とした小麦が風にたなびいている。
汗がスウッと引いて久しぶりに清々しい気分になる。
車がビュンビュン行き交う国道わきを歩く日本のお遍路さんと違い、スペインの道中は何と言っても景色が良い。昔ながらの土ぼこり道を野を越え丘を越えて歩いてゆくのだ。
周りに近代的な建物がほとんどないので、旧道のルートは緑の畑や小川を渡り、鄙びた村々を通りすぎてゆく。バス移動では決して気付かない道端の小さな花々を観察したりと、歩いているだけでも結構楽しくなる。
フランスから始まった4つの巡礼路が一つに合流するプエンテ・ラ・レイナ(王妃の橋)という町が今日のゴール地点。
早速巡礼宿で巡礼手帳を手に入れて、記念すべきひとつ目のスタンプを押してもらう。
約6キロ・1時間30分ほどの巡礼路ハイキングは意外とあっという間だった。
何と言ってもスーツで歩けるくらいですから。
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